2005年01月04日

初売りに行くの巻(4)〜頼んでいない付属品をあやうく買いそうに!?

”M”(車種名)”の試乗が終わった。
私はこの車の見積りが欲しい旨を担当の女性営業(Sさん)に告げた。
Sさんは快諾し、私をショールームへ招いた。
【Sさん】
こちらが”M”のカタログになります。
どの車でお見積りを作りましょうか?

【私】
(カタログをパラパラめくっている。)
う〜ん、グレードが色々あるみたいですね。
どれにしたら良いか、まだわからないんで、大まかで結構ですから、各グレードの装備の違いを教えてくれませんか?

【Sさん】
わかりました。

【私】
まず、これとこれだといかがですか?

【Sさん】
はい。
この二つですと・・。(汗)
(カタログを縦横無尽に見ながら、しどろもどろ答える。)


(※途中省略)


【私】
大体のところはわかりました。
どうもありがとうございます。

【Sさん】
いえいえ。
つたない説明でどうもすみません。
じゃ、お見積りはどの車にしますか?

【私】
まだ一車種に絞り込めていないんですよ。

【Sさん】
そうなんですか。

【私】
見積りを二枚作るのは面倒ですよね?

【Sさん】
いえ、そんなことはありませんよ。

【私】
そうですかぁ。
であれば、これとこれを見積もっていただけませんか?

【Sさん】
はい。
●(グレード名)のオートマと▲(グレード名)ですね。
お下取りの車はありますか?

【私】
ナシで結構です。
あと、フロアマットを付けておいてください。

【Sさん】
わかりました。
では、少々お待ちください。


(20分程待たされる。涙)


【Sさん】
お待たせ致しました。
こちらが●のオートマの見積りで、こちらが▲の見積りになります。

【私】
(見積書の支払い総額を見る。)
なるほどね〜。
やっぱりこれ位はかかるんですね・・。

【Sさん】
そうですね。

【私】
(見積り車種のグレードと車両本体価格の金額を確認した後、その下の付属品価格の金額が予想よりも高いことに気づく。)
ん?47,000円?
この車のフロアマットって、47,000円もするんですか?

【Sさん】
あっ、それは、こちらにある付属品の合計金額です。
(付属品明細の欄を指差す。)

【私】
合計金額?
私、フロアマット以外の付属品、頼んでませんよね?

【Sさん】
・・はい、でも、この付属品セットは、それぞれ単品で買うよりも、お得なので見積りに入れさせていただきました。(汗)

【私】
(付属品明細にある、見慣れないアルファベットの商品名に着目する。)
ん?■■■(商品名)?
これって何ですか?

【Sさん】
これはボディーコーティングです。

【私】
ボディーコーティングですかぁ。
であれば、せめてそのように書いて欲しいですね。
こんな風にアルファベットで書かれていても、何だかわからないですからね。

【Sさん】
そうですね。
勝手なことをしてすみません。

【私】
まあもういいですよ。
いずれにせよ、フロアマット以外のものは、現時点では必要ありません。
フロアマットが15,600円みたいなので、付属品合計額は約3万円安くなりますね。
ということは、支払い総額も3万円安くなって、約〇〇〇万円になりますね。

【Sさん】
はい、そうなります。


Sさんは、大学を昨春卒業し、この販売会社へ新卒として入社したと言う。
しかしながら、Sさんは、入社後一年経たずして、”自動車販売業界の古いマーケティングポリシー”に染まってしまったように見受けられる。
お客様に付属品そのものの説明をすることなく、その上購入意向も確認せずに、一方的に付属品を計上してしまうところから、私はそのように感じた。
Sさんはとても感じの良い女性であるだけに、残念でならない。

彼女が染まってしまった”古いマーケティングポリシー”とは何だろうか?
それは「売りつける」だ。
お客様を、長期に渡る取引パートナーではなく、一過性の財の搾取対象物とみなし、本人の意向や満足度を斟酌することなく、平然と自らの都合を押し付けることだ。

このマーケティングポリシーが形作られたのは高度経済成長の時だ。
自家用車が三種の神器と称され、その需要が右肩上がりだった当時、このマーケティングポリシーは事業経営的には有効だったようだ。
確かに、需要が急拡大している折、再購入&関連商品売上拡大を促す顧客満足向上取組みに注力するよりも、目の前のお客様に対し、「手当たり次第」とか「あわよくば」の意識で攻め込む方が手っ取り早かった、というのも理解できなくはない。

だが、時代は変わった。
自家用車は多くの家庭に行き渡った。
社会の少子高齢化は急速に進行している。
よって、この先、自動車の需要が大幅に拡大することは考えにくく、もはや、こうした焼畑農業的マーケティングポリシーは成立し得ない。

今、転換すべきマーケティングポリシーは「買っていただく」だ。
これはお客様にへつらうことを意味しているのではない。
商品(車、オプションなど)、人(担当営業の資質&能力など)、店(アメニティやアフターサービスなど)の内容とお客様個人にとっての価値をご理解&ご納得いただくべく、担当営業&販売店はお客様とコミュニケートし、お客様が、プレッシャーを感じることなく、笑顔で注文書に署名&捺印されるようリードすることだ。

「客が文句を言わなければ、そのまま売ってしまえばいい」。
自動車販売業界では、今尚、この意識が根強いようだ。
多くのお客様が自動車販売店を信用&信頼しづらいのはこのためだ。

各販売店が、この意識を持ち続け、お客様と対立しながら、「労(コスト)多くして益少なし」にて事業運営していくか否かは、詰まるところ、経営者個人の意思決定事項だ。
ただ、その運営方針が得策ではないことは、誰の目から見ても明らかだろう。



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