2005年08月16日

「決断力」(羽生善治・著)を読むの巻

私は羽生善治さんを尊敬している。
それは彼が、本業の将棋に対してはもちろん、あらゆる物事に対して本質を見抜き、それを究めるべく、絶えず自助努力しているからだ。
彼は、極度の緊張と高次元の能力が求められる”修羅場”をリスクを賭して渡り歩くことにより、自らの本質志向的思考(=彼が言うところの「知恵」)を究めている。
そして、自らの本質志向的思考を究めることにより、”勝つ(負けない)技術”が向上し、結果、修羅場において勝ち続けている。

彼の生き方には、こうした良好な循環ができているような気がしてならない。
彼が、プロ棋士としてのみならず、人間としても持続的成長を遂げていることは、今回読んだ「決断力(角川書店)」からもはっきりとうかがえた。
私も、彼に負けないように、ビジネススキル&人間力を磨かねばならない。(汗)

「決断力」を読んで、とりわけ印象に残ったのは以下の箇所である。
もし、これらを読んで、あなたも私と同様触発されたなら、この本を一読されるようお勧めする。





★知識を「知恵」にする

経験を積んでくると、たくさん読むのではなく、パッと見て、「この手の展開は流れからいってダメだ」「この手しかないから見通しが立つまで考えよう」とピントを合わせられるようになる。

これは知識がどれだけあってもできない。
知識を「知恵」に昇華させることで初めて可能になる。

つまり、何かを「覚える」、それ自体が勉強になるのではなく、それを理解しマスターし、自家薬籠中のものにする、その考えが最も大事なのである。
それは、他人の将棋を見ているだけでは、わからないし、自分のものにはできない。
自分が実際にやってみると、「ああ、こういうことだったのか」と理解できる。
理解できたというのは非常に大きな手応えになる。
何よりも嬉しい。
そして、新しい発見があるとまた次も頑張ろうと、フレッシュな気持ちになれる。

私は、将棋を通して、知識を「知恵」に昇華させるすべを学んだが、その大切さは、すべてに当てはまる思考の原点であると思っている。

(P29より抜粋)

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★最初は真似から始める

初心者が何かを学ぼうとするときは、いきなり大海原にたっても、どこに向かって何をしていいかわからないものだ。
たとえば将棋の場合は、ほかの人の棋譜を並べたり、定跡を覚えるのが一つの勉強方法だ。
それは前に通った先駆者の航路だが、真似てみることは大切だ。

しかし、丸暗記しようとするのではなく、どうしてその人がその航路をたどったのか、どういう過程でそこにたどり着いたのか、その過程を理解することが大切だ。
そうした理解に基づいて先駆者の通った航路を何通りも覚える。
ある程度レベルが上がると、すでにできている航路から少し離れたところで見て、自分の航路を考えられるようになる。
「真似」から「理解する」レベルになると、先駆者の考え方が、「ああ、そういうことだったのか」とわかるようになるだろう。
それはすごくうれしいことだ。

個人のアイデアは限られている。
何かをベースにして、あるいは何かをきっかけにしてこそ新しい考えがいろいろ浮かぶ。
「真似」から「理解」へにステップは、創造力を培う基礎力になるのだ。

(P183より抜粋)

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★対局が終わったら検証し、反省する

私が将棋を上達するためにしてきた勉強法は、初心者のころも今も変わらない。
基本のプロセスは、次の四つだ。
・アイデアを思い浮かべる
・それがうまくいくか細かく調べる
・実戦で実行する
・検証、反省する

将棋は適当に駒を動かせばいいというものではない。
なによりも指し手のアイデアを考えることが大切だ。

しかし、思い浮かべたアイデアはそのまま実戦では使えない。
うまくいくかどうかを盤に向かって調べる。

アイデアを綿密に調べたら、そのあと対局で使ってみる。
自分では十分に調べたつもりでも、実際の試合で実践してみると、対戦相手に思いも寄らない対応をされることがある。

対局が終わったら検証し、反省する。
対局では、常に正確な手を指していることは少なく、どこかでミスをしている。
そこで、どこでミスをしたかを確認し、もしミスをしないで進行していたら、どのような展開になったかを検証、反省する。

将棋はスポーツと違ってきちんと検証できる利点がある。
そのときの判断や決断を次に活かすことができるのだ。

この四つのプロセスをくり返していくことが、力をつけるポイントだと思っている。
将棋だけではなく、勉強や物事を進めるときにも大切なポイントではないだろうか。

(P153より抜粋)

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★「頭がいい」ということ

以前、私は、才能は一瞬のきらめきだと思っていた。
しかし今は、十年とか二十年、三十年を同じ姿勢で、同じ情熱を傾けられることが才能だと思っている。
直感でどういう手が浮かぶとか、ある手をぱっと切り捨てることができるとか、たしかに個人の能力に差はある。
しかし、そういうことより、継続できる情熱を持てる人のほうが、長い目で見ると伸びるのだ。

奨励会の若い人たちを見ていると、ひとつの場面で、発想がパッと閃く人はたくさんいる。
だが。、そういう人たちがその先プロになれるかというと、意外にそうでもない。
逆に、一瞬の閃きとかきらめきのある人よりも、さほどシャープさは感じられないが同じスタンスで将棋に取り組んで確実にステップを上げていく若い人のほうが、結果として上に来ている印象がある。

(P170より抜粋)


決断力 (角川oneテーマ21)
羽生 善治
角川書店
2005-07




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