2007年10月31日

慶応大学のシンポジウムに参加して村井純さん&古川享さんにお目にかかるの巻

来春、慶応大学がメディアデザイン研究科という大学院を新設する。
これを記念したシンポジウム”Design the Future 〜 協生と創造”が昨日催され、参加してきた。
学業との親和性が低い私(笑)がこのような格式&敷居の高いイベントに参加したのは、以下の二願望を抱いていたからだ。

一つ目の願望は、「敬愛する先生の村井純さん(慶応大学教授&常任理事)に無料聴講のお礼を申し上げたかったから」、だ。
私は、村井さんの講義を2002年からインターネット(SOI)を介し無料で聴き、数え切れない触発を受けている。
村井さんが提唱するインターネットの概念である「自律分散協調」、「best efforts(最善努力)」、「知&情報の社会的共有」は、今の私の公私両面に渡る行動指針だ。

二つ目の願望は、「敬愛する経営者の古川享さん(元マイクロソフト副社長&現慶応大学教授)に質問をしたかったから」、だ。
古川さんは、村井さんの講義の中で、「天ではなく上を見て仕事をする人間が増えた時、その組織は死に絶える(※註)」旨を講話なさった。
これは、企業へ経営支援サービス(経営コンサルティング)を提供している私にとって、永遠かつ喫緊の問いだ
私は古川さんのこの言葉に強くインプレスされ、機会があれば古川さんに解(=天ではなく上を見て仕事をする社員を作らない&減らすための経営指針&手法)を尋ねてみたいと思っていた。

幸運なことに、これらの願望は共に叶った。
やはり、最善努力はしてみるものだ。(笑)
村井さんは、最初はいぶかしげな表情をされていたが、事情を述べるや否や、大きなな&人を包み込むような笑顔を見せてくださった。
そして、私の「子供は是非SFC(湘南藤沢キャンパス)へ入学させ(村井さんの講義を受けさせ)たい」旨の言葉に対し、「お子さんと言わず、(あなたも)是非ご入学ください!」と応えてくださった。
村井さんは、「ソリューションをデザインする際に大事なのは、人や社会から受け入れてもらえるようにすること」と説いておられる。
また、過去どなたかが、「村井さんには天性のマーケティングセンスがある」旨を述べている。
私は、村井さんにお目にかかれて、人や社会をリードするには感性を肯定的に刺激する包容力がいかに大事であるか再認識できた。

古川さんは、先述の問いに対する解を以下の旨熱く&眼光鋭く述べてくださった。
【1】社員に、会社にとって収益は結果であり、結果を直接追求するのではなく、その結果をもたらす顧客満足を追求することが、良好な結果をもたらす最良の道であることをわかってもらう。
【2】社員が顧客満足を追求することに熱狂するよう、顧客満足を追求する中で達成した業務(プロセス)を積極的に肯定評価し、社員満足の醸成を図る。達成していないところばかりをダメ出ししない。ビルゲイツはこれがうまかった。
【3】但し、上記事項をやり切るには相応の利益(経営余力)が必要であり、経営者はこれを確保しなければならない。
私は、古川さんにお目にかかれて、自分が行っている企業の経営支援方針に自信を深める(笑)と共に、達成した業務(プロセス)を積極的に肯定評価することがいかに大事であるか再認識できた。

この他、私は、竹中平蔵さんのスピーチを拝聴した。
とても教示に富んでいたが、私は、以下の三事項に強くインプレスされた。
<1>最適な技術、方法、ソリューションは、今後益々変わる。このような情勢において競争力を持ち続けるには、”competitive(=ある特定の技術、方法、ソリューションが巧みに実行できる)”ではなく、”competent”(=最適な技術、方法、ソリューションが案出&活用できる)にならなければならない。
<2>マネジメントとは、リソースを総動員して活用する力のことである。
<3>批判には三通りの典型的なパターンがあり、他人を批判することは必ずできる。だが、大事なことは、各人が建設的な努力をすることだ。これを怠り、対案も出さずに他者を批判だけしても、何の意味もない。

こうして、本イベントの参加は、私にとって非常に貴重かつ有意義な経験になった。
村井さん&古川さんのお陰で再認識できた事項は、改めて実践度を高めたい。
また、本イベントを自らのブログでアナウンスしてくださった古川さん&本イベントを企画運営してくださった慶応大学のスタッフさんに、改めて感謝したい。(礼)


(※註)
企業は、大きくなった時に、天を見て仕事をするか、上を見て仕事をするか、がポイントになると思う。
上を見るっていうのは、組織の上と自分のボスのことばかり気になっているということ。
天を見るっていうのは、自分の美学とかお客さまのことを気にするということ。
それは、会社での成功とか名声よりも、「自分はこの信念を貫きたい!」とか、「この商品を届けてお客さまの満足する顔を見たい!」という思いを優先する、ということだ。
上を見て仕事をする人間が増えた時って、その組織は死に絶えるしかないということなんだろうな、と思う。
(注:オリジナルが講演ゆえ、若干編集しています。オリジナルを聴きたい場合は、講演の動画ファイルをダウンロード願います。)



<関連記事>
「ハケンの品格」を見て、天ではなく上を見て仕事をする社員が巣食う会社は早晩死に絶えることを再認識するの巻

▼その他記事検索
カスタム検索

トップページご挨拶会社概要(筆者と会社)年別投稿記事/2007年

この記事へのトラックバックURL