2008年11月07日

恐縮ながら小室哲哉さんを反面教師にさせていただくの巻

5c19ca95.JPG「Player」という音楽雑誌がある。
最近は殆ど読まなくなってしまったが、ギター小僧をやっていた(笑)学生時分は愛読したものだ。

Player (プレイヤー) 2008年 12月号 [雑誌]
プレイヤーコーポレーション
2008-11-01


当時愛読したコンテンツのひとつは、楽器の講座モノだ。
ギター、ベース、ドラム、キーボードなど、バンドの構成楽器分設けられていた。

講座のインストラクターを務めていたのは、主に発展途上のミュージシャンだ。
低コストで自身の存在と音楽観を世に知らしめたい彼らと、低コストでアマチュア向け講座原稿を調達したい出版社の利害が一致した格好だ。

私が楽器の別無くこの講座を愛読していたのは、彼らが自らの音楽観を、奏法や機材の解説に乗じて真摯に語っていたからだ。
自分の可能性を信じ、自分の考えを自分の言葉で語ることは、発展途上人にとって唯一かつ最大の武器だ。

この講座のインストラクターを経て発展途上を卒業したミュージシャンには、ギタリストだと高崎晃さん布袋寅泰さんが、キーボーディストだと小室哲哉さんが居る。
そう。
あの小室さんも、かつてはキーボード講座(「KEYBORD MANUAL」)のインストラクターを務め、まだ見ぬファンへ毎月一ページの紙面に自分の音楽観を語っていたのだ。

冒頭にアップした画像は、1984年7月号の掲載分だ。
話題がエフェクターに終始しているのでこれまで電子楽器をプレーしたことのない方にはさっぱりピーマンな内容だと思うが(笑)、小室さんが「音楽オタク」(笑)として試行錯誤しているさまと彼独特の音楽観がうかがえよう。
だから、まもなくして小室さんが参加するTMネットワークがブレークした時、そして、数年後小室さんがプロデュースする曲が次々から次へとヒットした時、私は驚かなかった。
「オタク」は「プロフェッショナル」の必要条件であり、かつ、本分だ。
当時私は、「音楽オタク」が発展途上を卒業し、世の中から広く受け入れられるのを、とても自然に、とても微笑ましく思った。

しかし、過日小室さんが詐欺容疑で逮捕された時、私は驚いた。
私は、「音楽オタク」の想定外の変貌ぶりを、とても不可思議に、とても残念に思った。

なぜ、小室さんは法を犯したのか。
推量の域は出ないが、ある時を境に「音楽オタク」の本分を忘れ、「音楽オタク」を全うする手段を目的と誤認するようになってしまったから、ではないか。
さもなければ、「音楽オタク」には不似合い(理解&実行困難)な事業経営を自らが先頭に立って行ったりしなかったのではないか。

正直なところ、小室さんが創る音楽は、私の好みではない。
が、小室さんが中森明菜さんへ書いた「愛撫」は、かなり好きだ。
小室さん独特の転調回しと耳馴染みの良いメロディーを中森さんが持ち前の歌唱力で情感込めて歌い上げているところが、私は好きだ。



片想い
中森明菜
MCAビクター
1994-03-24


UNBALANCE+BALANCE+6
中森明菜
ユニバーサルJ
2002-12-04


私は、小室さんが創造した価値と果たした功績を高く評価している。
小室さんが居なかったら、B'z安室奈美恵さんは存在しなかったであろうし、ポップ&ダンスミュージックは日本にまだ根づいていなかったであろう。

今、私が小室さんに願うのは、キーボード講座のインストラクターをやっていた時の気持ちを思い出し、発展途上人として再スタートいただきたい、ということだ。
天から授かった「音楽オタク」の才を、自分のために、そして、世のために全うしていただきたい。(礼)

私は、恐縮ながら小室さんを半面教師とさせていただき、今後も「満足オタク」(笑)の本分を全うしていく所存だ。
本分を忘れていたり、手段を目的と誤認している旨直感なさった折は、気兼ねなくその旨直言いただけると幸いだ。(礼)



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