2009年06月18日

スターバックスの既存店売上高がマイナス続きである理由を推量するの巻

親友のYさんは、スターバックス(※以下「スタバ」と表記)の優良個人利用客(笑)だ。
よく会社の帰路や休日のひと時を、最寄の大手スーパーに併設されている某スタバ店で、読書や残務(笑)をしながら一人で満喫なさっている。
Yさんは、もはやこのスタバ店の店長さんやスタッフさんと顔見知りで、彼らのサービスに感心した旨を事ある毎にレポートくださる。
Yさんをこのスタバ店の優良個人利用客にせしめているのは、自身がコーヒー好きであることや、車でアクセスし易いこともあるが、一番は、好意と信頼を寄せている店長さんやスタッフさんに会えることではないか、と勝手に私は考えている。(笑)

翻って、私は、スタバの非優良個人利用客だ。(笑)
仕事柄打ち合わせや歓談に利用することは結構あるが、それは非個人利用であり、たまたま店舗のファサードが視界に入っただけだ。
Yさんのように仕事の合間や休日のひと時をスタバで一人で満喫するのは、麻布十番界隈を訪れた際(→高確率で麻布十番店を訪れる)を除いて皆無に等しい。

なぜ、私はスタバの非優良個人利用客なのか。
価格に見合う個人利用理由が見つからないからだ。
「単にケチだからではないか?」との旨の反論が聞こえてきそうだが、一応私は企業経営者ゆえ、それは必ずしも正しくない。(笑)

そもそも、コーヒーは非生活必需品だ。
それに、コーヒー店以外でも、読書(=休息)や残務はできる。
コーヒーを出先で一人で飲まなければいけない合理的な理由は無い。

もちろん、極上のコーヒーを味わいたいなら、話は別だ。
が、さもなくば、単に自分が瞬間コーヒーを飲みたいだけなら、コンビニや自販機を利用すれば済むし、単に休息や残務をするだけなら、マックや図書館へ行けば済む。

つまり、「そもそもコーヒー店が優良個人客を得るのは容易でない」ということだ。
対象顧客へ価格に見合う個人利用価値を不断に創出&提供することが欠かせないからだ。

しかし、容易でない分、果たせた時のリターンは大きい。
収益の基盤を得るのと同義であるからだ。
優良個人利用客とは、商品/店/人に愛好と信頼を寄せ、好不況に関わらず一定頻度で商品を購入くださるお客さま、即ち「忠実な高リピート客」だ。
私のような、打ち合わせや歓談の時のみたまたま利用する「非忠実な低リピート客」(笑)しか得られないと、収益の基盤も得られない。

以前述べたことを繰り返して恐縮だが、いずれのビジネスにおいても欠かせないのは、個人客に笑顔で繰り返し自腹を切っていただくよう不断に努めることだ。
商品が非生活必需品であれば、尚更だ。

前置きが長くなってしまった。
なぜ、私はこんな話をしているのか。
昨日、たまたま<「スタバ」神話に陰り 既存店売上高マイナス続き>なる報道記事を読んだからだ。
近年、スタバと近似した経営コンセプトを持つ企業や同様のコーヒーを販売する企業は、とても多い。
しかも、スタバのコーヒーは、比較的高めだ。
スタバが、対象顧客に「高い価格に見合う価値」を提供し損ねれば、高確率で、収益の基盤となる優良個人利用客の増加がストップしてしまうのはもちろん、現有の優良個人利用客が競合企業へ流出してしまう。
「スタバの既存店売上高がマイナス続きなのは、このことが現実化しているからではないか」。
勝手ながら(笑)、私はこう推量した。

この推量が正しければ、スタバが実行すべきことのひとつは、個人客に笑顔で繰り返し自腹を切っていただくよう不断に努める意義を経営者以下全社員で再認識し、かつ、<対象顧客にとっての「高い価格に見合う個人利用理由(←価値)」>を再定義(案出)&創出&提供することだ。
そして、Yさんのような優良個人利用客、つまり「忠実な高リピート利用客」を増やすことだ。

ちなみに、私が麻布十番界隈を訪れた際、高確率で麻布十番店を訪れるのは、同店の三階のソファやテラスで飲むスターバックスラテが格別だからだ。
ソファは老朽化しているが、「高い価格に見合う個人利用理由」が見つかる貴重なスタバ店ゆえ、私は、今後も低リピート利用する所存だ。(笑)


★該当報道記事

「スタバ」神話に陰り 既存店売上高マイナス続き

コーヒーチェーン「スターバックス」が不況のあおりを受けて苦戦ぎみだ。既存店の売上高をみると、2009年3月は対前年同月比2.2%減、2月2.3%減、1月6.9%減、08年12月5.0%減とマイナス続き。「少々高くても行く価値がある」というお客に支えられて最近まで成長を続けてきたが、ここにきて「スタバ」神話に陰りが出てきた。

ひと頃はスタバに行くのがちょっとした「ステイタス」だった

米国では本家「スターバックス」が苦境にあえぎ、次々と閉店に追い込まれている。
08年10−12月期決算の純利益は6430万ドルで、前年同期の2億810万ドルに比べて大幅に減少した。09年4月29日発表の09年1−3月期決算によると、純利益はさらに減って、2500万ドル(前年同期1億870万ドル)だった。08年は600店を閉鎖するとしていたが、09年1月に300店の追加閉鎖と従業員の6700人削減を発表している。
スターバックスは1971年にシアトルで開業し、米国内で1万2000店舗にまで拡大した。日本にも96年に進出し、2009年3月末現在で840店舗を展開している。
日替わりの「ドリップコーヒー」は1杯290円から、エスプレッソにミルクを入れた「スターバックスラテ」は320円から、甘い風味が人気の「キャラメルマキアート」は370円から。
人気の秘密はコーヒーのおいしさだけではない。ゆったりとしたソファでくつろいで飲めること、「バリスタ」と呼ばれるスタッフの丁寧な接客を受けられること、といった「いやしの空間」も売りだ。普通のコーヒーチェーンに比べて高めの価格設定だが、ランチ代を節約しても行くという女性もいたほどで、ひと頃はスタバに行くのがちょっとした「ステイタス」だった。
今も「スタバ派」は健在だが、ネット上の書き込みを見ると、「スタバは高いし、食べ物にろくなのがない」「値段が高い」という批判も目立つ。1杯200円でブレンドコーヒーを提供するドトールコーヒーや、日本マクドナルドの120円コーヒーを推す声もある。

高級路線のコンセプトがブレてきた

既存店売上高は09年3月が対前年同月比2.2%減、2月は2.3%減、1月は6.9%減、08年12月5.0%減とマイナス続きだ。08年4月から09年3月までの12か月間で、プラスだったのは08年7月と11月のみ。09年3月期第3四半期(08年4月1日〜12月31日)の純利益は23億700万円で、前年同期に比べて6億5300万円減った。
日本ブランド戦略研究所(東京都港区)の榛沢(はるさわ)明浩代表は、「ブランド力」が衰えてきていると指摘する。
「一般的に、店舗が増えるとその分、広告効果が出ますが、過剰露出すると『どうしても欲しい』という飢餓感が薄れてしまいます。チェーン店は体力がある限り、どんどん出店するというのが鉄則ですが、スタバの場合、出店場所にも問題があったようです。当初はどちらかというと高級感のある場所に出店していましたが、そのうちスーパーマーケットや駅なかにも広がり、普通のコーヒーチェーンとは一線を画した高級路線のコンセプトがブレてきたようです」
これに対し、スターバックスコーヒージャパン広報担当者は、既存店の売り上げの落ち込みについて、景気減速の影響を理由に上げる一方で、
「世界規模で経済が落ち込んでいるが、それに比べたら(このマイナス幅は)いい方だと思います」
としている。
ドトールコーヒーの場合は、ドトール単体の既存店売上高は08年9月1.3%増、10月は1.8%増と健闘していたが、08年11月(1.0%減)からマイナスに転じ、09年3月は5.1%減だった。
同社広報担当者は、
「こういうご時世ですから、値頃感のある方をお客さまは求めているのでは。安いだけでなく、クオリティにも自信があります」
と話している。
既存店売上高が08年5月から09年3月まで11か月連続して前年を超えている日本マクドナルド。08年11月14.4%増、12月2.0%増、09年1月3.4%増、2月1.3%増、3月6.8%増と絶好調だ。
08年2月にリニューアルした「プレミアムローストコーヒー」は、1杯120円と安くておいしいと好評で、08年までに1億6000万杯を販売した(アイスコーヒーを除く)。
マックの快進撃に比べると、スタバは07年4月〜08年1月は既存店売上高が前年比0.3〜4.6%増と10か月間連続でプラスだったのが、08年2月以降は一転してマイナスの連続。神話に陰りが出てきているように見える。

2009年5月5日付livedoor newsから転載
http://news.livedoor.com/article/detail/4139901/



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この記事へのコメント
おひさしぶりです。

スタバはかつて「希少価値」がよかった、知ってるとマニアっぽい、知ってることがステイタス、みたいなのがよかったのに、出店をしすぎてそれがなくなっちゃったどころか、「流行遅れのステイタス」のようになってしまったので逆に足を遠ざけてしまった、といった分析をみたことがあります。

相変わらず人通りの多いところでは客も多いので、ちょっとは小洒落ているが普通の喫茶店よりは儲かっているが、一時の勢いと比べたら、、、ってな感じでは。

私がスタバにいかない理由。それは、、、公衆無線LANが充実してないから、なのですが(Cafe de CRIEかPRONTO、DOUTORに行きます。香港でもPacific Coffeeに行っちゃいますし)、そういうのはどうして充実させないんだろう。あとやっぱりちょっと高いイメージもあるかな。
Posted by GIN at 2009年06月26日 06:47
GINさん

こんにちは、堀です。
私こそ無沙汰しております。

> スタバはかつて「希少価値」が
「希少価値」は、多店舗化により、基本、激減します。
スタバの経営者も、これは多店舗化を決断した時、内諾した。
が、多店舗化により新たに創出できる&強化できる(orしなければいけない)と考えていた価値が、想定していた以上に考え倒れになっている。
私の、勝手にこう推量しています。(笑)

> 公衆無線LANが充実してないから。
公衆無線lanは大してコストがかかりません。
なのにやらないのだから、同社は対象ユーザーを同社の対象客と定義していないのでは?

> あとやっぱりちょっと高いイメージもあるかな。
GINさんも、「価格に見合う価値」が感じられないのですね。
やはり、ここがツボかもしれません。(笑)
Posted by 堀 公夫 at 2009年06月26日 08:58
堀さん

お久しぶりです。
スターバックスの株主である私(←1株でえらそうな!笑)もスタバにはほとんど行きません。

他のコーヒーショップがあればそっちに行きます。何でかていうと単純に「高い!」からですね。「一サラリーマン」にはちとためらう値段だと思います。。。ドトールやベローチェとの値段の差が僕にはわかりません。(安上がりなお口です。)

しかし、年に1回送られてくる株主優待券では値段を気にせず頼めるので「一番高いのください!!」と鼻息を荒くして頼んでいます。笑 

株主としては(←また偉そうに!)、堀さんのような経営者には毎日スタバに通って欲しいですね。笑

Posted by Yみやたかし at 2009年06月30日 13:28
Yみやたかしさん

こんにちは、堀です。
コメントをありがとうございます。

> 堀さんのような経営者には毎日スタバに通って欲しいですね。笑
「堀さんのような経営者」とはいかなる経営者か非常に気になりますが(笑)、経営がわかる貴重なスタバ株主であろうYみやたかしさんのご意向はしかと頂戴しました!
Posted by 堀 公夫 at 2009年06月30日 16:54