2000年03月07日

【購入記その14】レガシィの最終商談を行う(後編)

前回は、レガシィの最終商談(中編)をレポートしました。
今回は、レガシィの最終商談(後編)をレポートいたします!


             ◇◆◇◆◇◆


 ------------------------------------------
 ★2月10日
 ------------------------------------------

検討の末、私はレガシィの購入を決断しました。
ついては、以下のメールをMさんへ送りました。

(前略)

遅い時間のメールで申し訳ないです。
先ほど会社から帰ってきた所なので(^^ゞ。

さて、次の条件でOKならば、明日契約をします。

1.納車時こちらから引き取りに行くので納車費用カット。
2.希望ナンバーの取得(1の費用と相殺)。
3.フロントバルブ関係持ち込み無償取付。
4.フロントコーナーインジケーター他取付位置事前確認。
5.以上の内容で、総支払額は■■円。

OKであれば明日、自宅または私の携帯へ
午後1時頃までに連絡を下さい。

(後略)


 ------------------------------------------
 ★2月11日
 ------------------------------------------

朝、Mさんから電話が来ました。
用件は以下の通りです。

1.▲▲円の総支払額で契約してもらいたい。
2.↑の金額の根拠を含め話したいことがある。
3.ついては、自宅へ伺いたい。

この日、私は、外で先に済ませておきたい用事がありました。
そこで、2時過ぎに私が店へ出向き、説明が納得できれば契約することにしました。

ただ、実のところ、これは形ばかりでした。(笑)
私は、よほどのことでも無い限り、細かいところはスルーして契約しよう、と思っていました。(笑)
というのも、「ぬかるみにはまったおじいさん事件」でMさんを完全に気に入り、信頼していたからです。


【私】
(2時5分頃店に着く)
どうも。(笑)

【Mさん】
お待ちしてました。
どうぞこちらへ。
(テーブルへ手招きする。)

【私】
(テーブルの椅子に腰をかける。)
何やらお話があるようで・・・。

【Mさん】
はい、いくつか。
まずは、納車費用のカットの件です。
実は、営業的な問題からカットが難しいんです。
ついては、同額をお値引きで対応させていただきたいのです。
よろしいでしょうか?

【私】
Mさんの立場が悪くなるなら、カットはいいですよ。
そもそも、家に車を届けてもらっても、使い方の説明をよく聞かなければいけないし、すぐガソリンを入れに出かけなければいけない。
であれば、こっちから店に出向いて、説明をよく聞いて、ガソリンを入れて帰ってくればいいかな・・・。
であれば、納車費用は要らないかな・・・と考えていただけなんです。(笑)

【Mさん】
そうおっしゃっていただけると助かります。
次は、前回お作りした最終のお見積もりに誤りがあった件です。
「装着中止」と書かれていたにも関わらず、リヤコンビランプガーニッシュを計上してしまいました。
申し訳ありません。

【私】
そうでしたか。
僕もうっかりしてましたよ。(笑)
そう言えば、逆に、ETCの取付費用が計上されていませんでしたけど、これは機器代に含まれているという解釈でいいですか?
あと、やはり希望ナンバーをお願いしたいのですが・・・。

【Mさん】
そうなんです。
ETCの取付費用を計上しなかったのも誤りです。
本当に申し訳ありません。

【私】
問題無いですよ。
悪気があったわけじゃないでしょうから。(笑)

【Mさん】
もちろんです。

【私】
で、結果的にはどうなるのですか?

【Mさん】
今の内容は、リヤコンビランプガーニッシュ代金の13,650円をマイナスして、希望ナンバー取得費用の10,070円とETC取付費用の3,150円を加算することになります。

(電卓を取り出す。)

ついては、▲13,650円+10,070円+3,150円で▲430円になります。
そして、9,700円の納車費用をお値引きで相殺しますので、前回ご提示した総支払額から▲10,130円となります。
で、消費税の端数計算をし、最後に数字を丸めまして、最終的に●●円の総支払額を提示させていただきます。
いかがでしょうか?

【私】
その金額で、必要な利益が稼げず、Mさんの社内での立場や処遇が悪くなったりしませんか?

【Mさん】
大丈夫です。
それは絶対にありません。

【私】
本当に大丈夫ですね。
Mさん、自腹切ったりしてないですね?

【Mさん】
本当に大丈夫です。

【私】
そうですか。
では、この金額で契約しましょう。

【Mさん】
ありがとうございます。
では、契約書と必要書類を持ってきますので。
(離席する。)

(約五分後、席に戻ってくる)
ではまず、念のため、オプション品をもう一度確認させてください。

【私】
はい。
読み上げましょうか?

【Mさん】
では、お願いします。

(私が読み上げる内容を確認する。)

はい、今度は大丈夫です。

【私】
それはよかった。(笑)

【Mさん】
では、契約書と書類の説明をさせていただきます。
(約款等の契約書記載内容と登録関連書類を説明する。)

【私】
全て了解しました。
じゃあ、印鑑を押しましょう。

【Mさん】
こちらとこちらにお願いします。

(私の押印を見届ける。)

はい、結構です。
ありがとうございます。

【私】
良かった良かった。(笑)
あとは、3月登録に間に合うかどうかですね。
まあ、これは私がどうするものでもないので、頑張ってくださいね。(笑)

【Mさん】
はい、頑張ります!
それと、店長がご挨拶したいと申しておりまして・・・。

【私】
そうですか。
好都合です。
僕もお話ししたいことがありましたので。


この後、店長が挨拶に来ました。
私が初めてこの店を訪れた時に相手をしてくれたのは彼で、彼もそのことを覚えていました。

私は、彼に「結論を出すのに四ヶ月近くかかってしまい、色々迷惑をかけたのではないか」と聞きました。
彼は、私に「高い買い物ですから、じっくり選んで頂いて、最終的に決めて頂けて嬉しく思う」と返しました。

私は、彼に「購入したのが近隣店舗を含めて販売実績の無いADA車で、正直今でもアフターサービスに若干不安がある」と言いました。
彼は、私に「納車までにADA車の整備体制を整えるつもりである」と返しました。

私は、彼に「ぬかるみにはまったおじいさん事件」を話しました。
また、「自分がレガシィの購入を最終的に決断したのは、この事件でのMさんの優れた対応と人間性を直視したからである。
なぜなら、過去関連会社の経営者を務めていた際、このような資質を持っている人は、顧客の信頼を得て、伸びていく可能性が高いのを身をもって知ったからである」と言いました。
彼は、私に「Mは真面目で一所懸命やっていると思っていたが、お客さまからそうおっしゃっていただけて、本当に嬉しく思う」と返しました。


┌───────────────────────────────
│購入後レポート
└───────────────────────────────

【2010年2月】

早いもので、レガシィも車検を二度受けました。
基本的に不具合もなく、順調に五年が経過したという感じです。

レガシィは、期待していた以上に長距離の移動が苦になりません。
ハイエースに乗っていた頃は、長距離の移動についつい新幹線を利用していましたが、今ではもっぱらレガシィです。

ADAの有り難みも感じました。
写真のような画面に切り替えると、自分の目では10メートル先の先行車すら見にくいような吹雪の中でも、ADAは先行車や対向車をしっかりとキャッチし、警告してくれました。
京都の友人宅、その後福井の仕事先へレガシィで行った際、途中、集中豪雨に遭ったり、高速出口レーンから分離帯直前でいきなり私の目の前に戻ってきた車などがあったりしましたが、ADAは良好に反応してくれました。
もちろん、車は機械であり、最終的には運転者の責任において、状況判断しながら使うモノです。
けれども、こうして機械が運転者をアシストしてくれるのは、状況判断に余裕ができ、有り難いことだな、と感じます。
ラリードライバーなら別ですが、私は一般ピープルですから。(笑)
非常にいい買い物をしました(^^)。

営業担当のMさんは、相変わらず信頼すべき、また愛すべき(笑)営業担当です。
点検整備の時期が近づくと必ず連絡が入りますし、スバルが恐らく本社主導で行っている「お客様感謝デイ(年に4回)」の案内も欠かさず届けてくれます。
点検整備時の店舗又は自宅への回送も、気軽に無料で引き受けてくれます。
私が出張で家を空けている間に点検整備がある時は、自宅車庫内のスマートと前後入れ替えもしてくれる手際の良さも発揮してくれています。(笑)
(最近はスマートのことも相談に乗ってくれたりしています。笑)

余談ですが、Mさんは、私に「○○さんは紳士的なお客様ですから一生懸命になるんです」と笑いながら言ったことがあります。
どういう意味かその本意は解りませんが、彼にとって私という人間は少なくとも会いにくい客ではなかったのでしょう。
彼との良好な関係は、結果論になりますが、お互いどういう人間に好印象を持つかというベクトルが一致していたことが大きいのではないか、と思います。
例えば私が実直な人間を苦手とし、お調子者系の営業マンが好きなタイプの人間であったら、このような関係はなかったような気がします。

店舗に行くと、大概、彼の他に店長が挨拶に来ますし、何らかの整備を行った後は、メカニックの方がどんな整備をどういう風に行ったかを詳しく説明してくれます。
相変わらず自動ドアの反応は今ひとつですが(笑)、彼を含めた店舗全体の対応が気に入っています。
なので、出張後に店舗を訪れた時には、出張先の土産を持っていくこともままあります。
やはり、安く買いたいというのは誰でも思うことながら、永く使うものは、「その後」のことも良く考えるべきだなぁ、と改めて思う次第です。

堀さんに、そして堀さんのHPに出会えたことは、レガシィの購入において、非常に参考になり、大変お世話になりました。
改めてお礼を申し上げます。
それでは、また。


【2013年6月】

さて、私、今年の2月より縁あって沖縄にて暮らすこととなりました。
○○という会社にてCFOをしています。

レガシィはもう7年を越えましたが、元気に走っています。
関東在住時は、故郷の仙台への雪道など、全くストレス無く移動でき、実に快適でした。
真冬に、豪雪で有名な酸ヶ湯温泉に行った時も、平気でラッセルして走ってくれました。

今回、沖縄でも活躍してもらうとのことで、一緒に来てもらっています。
車移送の際は、放射能検査なども受けましたが、無事船積みされ、いま、沖縄の地で走っています。

千葉の自宅もまだありますので、月に1,2度は戻っているのですが、恐らく、3から4年ほど、こちらにいることになるかと思います。
今回の移転においても、営業担当のMさんは非常にフットワークのよい動きをしてくれました。
移送前の点検、沖縄スバルへの引き継ぎも遺漏なく手配してくれました。
こちらのディーラーにすべての点検記録も移してくれ、こちらの担当者にも何度か連絡をとってくれたようで、沖縄スバルに初めて行った時も、何の問題もありませんでした。

沖縄では、車通勤で走行距離も伸びますし(電車がないです)、年中潮風が吹いていますから、もしかしたら3から4年の赴任の間で、このレガシィもどうなるか・・・と思います。
もちろん、手は入れて乗りますが、多分、また車を買うことがあれば、まず間違いなくMさんから買うことになるだろうなとの予感もあります。

もし、沖縄に来ることがあればご連絡ください。
堀さんの益々のご活躍、期待しております。


┌───────────────────────────────
│Horiの感想
└───────────────────────────────

engraulis_japonicaさんから頂戴した購入活動記と購入後レポートを改めて読み、強く再認識したことがあります。
それは、「自分にも他者にも正直/誠実で、かつ、最善努力を惜しまない人は、中長期的には必ず報われる」ということです。

もし、engraulis_japonicaさんが、自分の購入ニーズを見極めなかったら、担当営業のMさんと紳士的かつ腹を割ってコミュニケートしなかったら、レガシィの商品価値を徹底的に理解しなかったら、車検を二度受けてもなお、購入車両のレガシィ、担当営業マンのMさん、購入店舗のスバル××店にかくも高い満足を覚えなかったでしょう。
また、もし、Mさんが、engraulis_japonicaさんの購入ニーズに真摯に向き合わなかったら、engraulis_japonicaさんと紳士的かつ腹を割ってコミュニケートしなかったら、レガシィの商品価値を徹底的に伝達しなかったら、engraulis_japonicaさんにレガシィを購入いただけなかったのはもちろん、車検も受けていただけなかったでしょう。

「自分にも他者にも正直/誠実であること」。
「最善努力を惜しまないこと」。
これらを全うするのは、買い手にとっても、売り手にとっても、容易ではない。
しかし、だからといって手をこまねくのは、チャンスを棒に振るのと同義で、勿体ない。
私は、engraulis_japonicaさんとMさんが、こう教え諭してくださっているような気がしてなりません。


「終わり」

←ひとつ前のページへ戻る
←このコーナーの先頭のページへ戻る
この記事へのコメント
5
長期の連載、お疲れ様でした。
思えば、この連載の続きを読みたいと思って連絡をしたのが、堀さんと知己を得た取っ掛かりでしたねぇ・・・。(遠い目)
この時に買われた車が未だに使われているという後日譚も、グッと来るものがありました。

Mさんのようなセールスマンが一人でも多く増えますように!と祈念して、感想を打ち終えたいと思います。(-人-)ナムナム
ありがとうございました。
Posted by hisa at 2013年11月12日 12:33
hisaさん

こんにちは、堀です。
この「engraulis_japonicaさんの”ミステリーショッピング的”新車購入活動記」が長期連載になってしまったのは、ひとえに私の不肖に因るものですが、本連載の投稿を機にhisaさんからご縁を授かれたのは、また、将棋の大盤解説会にハマってしまったのは(笑)、ひとえにhisaさんのご厚情に因るものと理解しております。
hisaさん、最終回まで精読くださり、本当にありがとうございました。(礼)
私も、Mさんの様なデキる営業マンが一人でも増えるよう、願ってやみません!

堀 公夫
Posted by 堀@キャタリスト at 2013年11月13日 07:12