2013年06月11日

ユニクロとの相思相愛関係にヒビが入り、ユニクロのあるべき進化を心から願うの巻

私は、ユニクロ及びその運営(持ち株)会社であるファーストリテイリングを、企業として高く評価しています。
理由をひと言で言えば、「顧客満足が高いから」です。

なぜ、ユニクロは顧客満足が高いのでしょう。
その前に、そもそも顧客満足とは何でしょう。
考え方は色々ありますが、本質はコストパフォーマンスです。
要するに、顧客は、商品の購入に1,000円を支払った時は1,000円以上の価値が獲得できると満足し、1万円を支払った時は1万円以上の価値が獲得できると満足する、ということです。
然るにユニクロの顧客満足が高いのは、「ヒト(店舗スタッフ)、ミセ(店舗)、モノ(商品)のトータルのコストパフォーマンスが高いからだ」、ということになります。

例えば、私は、毎年5月から9月にかけて、家では専らユニクロのドライTシャツと短パンで過ごし、絶えざる発汗と暑気を癒していますが、それらは各々凡そ1,000円で、しかも、数多在るどのユニクロ店舗でも買えます。
同じ1,000円でここまで便利で確実な衣料品、否、商品は、そうそうありません。
企業の競争と淘汰が世界的に激化している昨今、ユニクロが生き残っているのは、私のこの印象が一顧客の勘違い(笑)ではなく、数多の顧客の共通認識だからに違いありません。

では、私は、この先もずっとユニクロを高く評価し続けるのでしょうか。
それは「神のみぞ知る」ことであり(笑)、これは私以外の数多の既存顧客も同じだと思います。
顧客満足ははかないのです。

なぜ、顧客満足ははかないのでしょう。
それは、恋愛感情と同様(笑)、比較と主観で成り立っているからです。

たしかに、ユニクロは今、私を含め(笑)数多の顧客と相思相愛関係にありますが、その一番の理由は、先述の通り、屈指のコストパフォーマンスリーダーだからです。
より強力なコストパフォーマンスリーダーが出現した暁には、彼らに顧客満足を悉く奪われ、数多の相思相愛関係を失う可能性があります。

それに、そもそもコストパフォーマンスの最終評価は主観、即ち、感情であり、顧客の感情は恋人のそれと同様、気まぐれで傷つき易い(笑)ものです。
たとえ本意ではなくとも、ユニクロが顧客目線で不可解な仕事をした暁には、彼らにヒト、ミセ、モノの価値をトータルで見限られ、やはり数多の相思相愛関係を失う可能性があります。
ユニクロが数多の相思相愛関係を失わないために今できること、否、すべきことの最たるは、コストパフォーマンスの進化を絶やさないこと、そして、顧客目線を失わず、顧客の感情の機微に敏感であり続け、顧客と常に感情をシンクロさせること(→顧客と感情の齟齬を来たさないこと)、です。

ところで、なぜ、私はユニクロのあるべき進化論(?・笑)をのたまっているのでしょう。
それは、過日、ユニクロらしからぬ不可解な仕事に遭い、相思相愛関係にヒビが入ってしまったからです。
事のてん末は文末に後述しますが、概略すると、不肖私、ユニクロのスポンサー・アスリートであるゴルフのアダム・スコット選手がマスターズで劇的に優勝して感激し(笑)、セールを好機に彼が宣伝モデルをしている今期最新ポロシャツを買おうと試みるも、店頭で「再入荷の見込みが無い(※)」とけんもほろろに断たれた上、次週のセールでは打って変わって改めて売り込まれたのです。
(※)6月11日現在、web(ユニクロストア)では「在庫有&購入可」となっています。
たしかに、ユニクロの本部と店舗がPRまでかけた(=追加的販売コストをかけた)重点商品を発売開始後一ヶ月未満で欠品にしたのは、マスターズ優勝という奇跡性が故の幸福中の不幸(?・笑)と斟酌できます。
しかし、追加生産があって然るべきな時期に、店舗がリスク(←クレーム)回避を一義に、顧客の購入意向を一方的に拒んだこと、並びに、そうした販売現場の実情を熟知しているはずの本部が、重点商品の拡販を一義に、「注釈を入れる」という「逃げ」を擁して、欠品商品をセール対象品に写真入りで載せ続けたことは、ユニクロの仕事にしては余りにもお粗末な、顧客満足を裏切る不作為かつ確信犯的なそれで、斟酌できません。
本当になぜ、店舗は、「あいにく現時点では再入荷の情報が無く、本品を近日お渡しすることはできかねますが、情報が入りましたら、その旨改めてご連絡してもよろしいでしょうか?」と応えなかったのでしょうか。

そして、なぜ、ユニクロの本部と店舗はこの様なお粗末な仕事をするようになってしまったのでしょうか。
表層的な原因としては、コミュニケーション(情報伝達/意思疎通)の部門横断性が低下していること、並びに、リスクテイクの権限と評価が十分でない(→取るべきリスクが取り難く、取っても報われ難い)ことが推量されます。
同時に、根本的な原因としては、自らの存在意義と生き残りの条件が彼らに浸透していないことが推量されます。
もし、彼らが、コストパフォーマンスの進化を顧客目線で絶やさないこと、並びに、顧客と常に感情をシンクロさせ、相思相愛を絶やさないことを、自らの存在意義と生き残りの条件と得心していれば、今回の様なお粗末な仕事に私が遭うことはなかったはずです。

一顧客として私は、相思相愛関係にヒビは入ったものの、ユニクロにまだ未練があり(笑)、後日、件のポロシャツとは別の、スコット選手がマスターズで優勝した際に着用していたポロシャツを購入しました。
私は、柳井正社長以下全経営者が、各種のコミュニケーションイベントや人事業績評価システムを通じて、ユニクロの存在意義と生き残りの条件を本部と店舗のスタッフに説得し、店舗がリカバリーショットを披露してくれるのを、心から願うばかりです。(礼)

DSCF9005



ご参考

【1】事のてん末

〔1〕4月15日
たまたまテレビをつけると、マスターズの最終日ラスト3ホール付近(=15ホール〜)の模様が目に入る。

〔2〕
アダム・スコット選手、アンヘル・カブレラ選手、ジェイソン・デイ選手の三選手が首位争いをしているのを知る。

3〕
スコット選手の胸(※ポロシャツ)に、メルセデス・ベンツとユニクロのスポンサーロゴを発見する

〔4〕
スコット選手が両社にスポンサードされているのを初めて知ると共に、ユニクロの(トップクラス)ゴルフ選手への初スポンサーに感心する

〔5〕
16番ホールで、カブレラ選手が、スコット選手とデイ選手とは異なり、ワンパットでボールを沈め(→バーディを取り)、三選手が首位に並び、興奮する

〔6〕
17番ホールで、カブレラ選手が、絶妙のパッティングをするも、勝利の女神の気まぐれでワンパット(→バーディ→単独首位)は成らず、更に興奮する

〔7〕
最終18番ホールで、デイ選手が僅かにパットを外して(→ワンパットならず)三位に脱落し、かわって、スコット選手がマズマズのセカンドショットの上、ワンパットでボールをカップにねじ込み(→バーディ→突き上げガッツポーズで単独首位に躍り出る)、更に興奮する

〔8〕
同じく18番ホールで、カブレラ選手が、ベタピンとなる絶妙のセカンドショットを打ち(→当然ワンパットでバーディ→同じ9アンダーでスコット選手と首位に並ぶ→プレーオフに突入する)、更に興奮する

〔9〕
プレーオフ1ホール目の18番ホールで、両選手が共にセカンドショットでグリーンを僅かに外す(→結果、両選手共にパーで上がり、プレーオフが続く)も、カブレラ選手がサードショットでチップイン紙一重の絶妙のアプローチショットを披露し、更に興奮する

〔10〕
プレーオフ2ホール目の10番ホールで、雨中のロングホールにも関わらず、カブレラ選手がアイアンでティーショットを打ち、3番ウッドでティーショットを打ったスコット選手のボールのほぼ横に並び、更に興奮する

〔11〕
両選手が共に、ワンパットのバーディ可能圏内に絶妙のセカンドショットを打ち、更に興奮する

〔12〕
カブレラ選手が、入っても全くおかしくない絶妙のパッティングをする(→カップ真横でボールが止まり、パーでホールアウト)。

〔13〕
スコット選手が、最高の緊張感の中、ボールを見事にワンパットでカップに沈めて優勝し、興奮が最高潮に達する)。



〔14〕
見応え十分の死闘を演じてくれたスコット選手とカブレラ選手に感謝感激する

15〕
興奮冷めやらぬ中(笑)、ユニクロの以下のPRツイートが目に入り、劇的な優勝を遂げたスコット選手に対するオヒネリとアヤカリ(笑)として、彼が宣伝モデルになっているポロシャツの購入意欲が急発生する。(←ポロシャツ自体は死ぬほどタンスに在るが。笑)


16〕4月29日(※前回の接触から2週間後)
ユニクロの以下の29・30日のセールのツイートが目に入り、件のポロシャツがセールの対象になっていることを知らされ、マスターズとの連続性の余りの良さに感心すると共に、購入を強く急きたてられる(笑)が、店舗訪問不能なスケジュールのため泣く泣く断念する。


17〕5月3日(※前回の接触から4日後)
ユニクロの以下のGWラスト四日間のセールのツイートが目に入り、件のポロシャツが引き続きセールの対象になっていることを知らされ、今夏ユニクロがポロシャツの販売に賭けているのを窺い知り、意気に感じると共に、今度こそ件のポロシャツを購入しようと強く決心(笑)する


18〕5月5日(※前回の接触から2日後)
都内を移動中、途上の某大型店を訪れるが、セールのラス日前日のためか、件のポロシャツが予想外に売り切れていて落胆する(涙)

19〕
スタッフさんに取り寄せが可能か訊くと「可」と返答され(→先ずは可否の回答を三日以内にする旨付言され)、喜んで取り寄せをリクエストをする(→機嫌が上向く。笑)

〔20〕
「いかにビジネスモデルが早期の売り切りを旨とするSPA(製造小売業)とはいえ、ユニクロのこと、時期がまだ時期だけに(=発売を開始して一ヶ月にも満たない時期ゆえ)、取り寄せは可能に違いない」と好意的に信じて、店を発つ。

21〕5月7日(※前回の接触から2日後)
某大型店のスタッフさんから携帯宛に、「大変な人気商品ゆえ、取り寄せ不可」との旨回答があり、驚く。

22〕
「時期がまだ時期ゆえ、すぐさまの取り寄せができなくても、再入荷の見込みがあるのではないか?」との旨訊くも、「今の所、見込みは無い」と回答され、更に驚くと共に、今の時期で再入荷の見込みが本当に無いものか怪訝に感じる

23〕
そこで改めて、「今の時期で、もう永遠に入ってくる見込みは無いのか?」と訊くも、「今の所、見込みは無い」と同様に回答され、今の時期て再入荷の見込みが本当にあり得ないものか怪訝に感じながら、電話を切る(→前回以上に落胆する)。

24〕5月10日(※前回の接触から3日後)
毎日新聞朝刊に折り込まれていたユニクロのセールのチラシを見「モデル着用商品及び掲載商品は、大人気のため売り切れの場合がございます」との注釈が付されてはいるものの、件のポロシャツが引き続きセールの対象になっていることを知らされ、「過日の私の店舗訪問とスタッフさんの取り寄せ回答は一体何だったのか」と、これまで高く評価してきたユニクロに裏切られたような、バカにされているような気持ちに、また、寂しく残念な気持ちになる

DSCF9025DSCF9027DSCF9022


【2】てん末のポイントと因果分析

〔1〕ユニクロがトッププロゴルファーのアダム・スコット選手とスポンサー契約を結んだのは、とりわけ私の様なヘボゴルファー顧客(笑)からすると目新しさがあって感心であり、また、それをマスターズという大舞台で全世界に周知したのは、感動的な意外性があり更に感心(→感情の齟齬ナシ)。

〔2〕スコット選手がマスターズで死闘の末(→物語を創って)優勝したのは、ユニクロにとって幸運に違いないが、凡そ半日後、ユニクロが本件とスコット選手へのスポンサー契約の件をツイッターで告知したのは、ゴルフ(スポーツ)大好き顧客に対し、オヒネリやアヤカリの購入ニーズを自然に喚起し、更に感心(→感情の齟齬ナシ)。

〔3〕2週間後、ユニクロが、スコット選手が宣伝モデルのポロシャツをGW前半のセール対象品にラインナップしたのは、〔2〕で喚起した購入ニーズの出口として極めて自然かつ有効で、更に感心(→感情の齟齬ナシ)。

〔4〕4日後、ユニクロが件のポロシャツをGW後半のセール対象品に改めてラインナップしたのは、顧客に少々マンネリ感と不安感(=「もしかして、あまり売れていない?」)を醸成する恐れはあるが、〔2〕で喚起した購入ニーズの出口として有効の範囲内であり、前半のセールで購入できなかったことも手伝い(笑)、依然感心(→感情の齟齬ほぼナシ)。

〔5〕2日後、ユニクロの某大型店がセール終了間際でもないのに件のポロシャツの在庫を切らしていたのは、ビジネスモデルでありかつお家芸でもあるSPAが機能不全を来たしている表われである。それは、特に需要予測、生産、マーケティング、販売の業務プロセスが 有効かつリアルタイムに連鎖しない社内全体業務フロー、並びに(又は)、各種社内システム(例:人事業績評価システムや社内コミュニケーションツール/イベント)が主因であると思われ、かくしてそのツケを支払わされるのは、買い気満々の顧客(笑)として不本意かつ遺憾で、頂けない(→感情の齟齬アリ)。

〔6〕店舗スタッフさんがその救済措置として取り寄せのリクエストを受け付けたのは、販売現場ででき得る最善対応であり、相応に感心(→感情の齟齬薄まる)。

〔7〕2日後、店舗スタッフさんが約束通り3日以内に取り寄せ可否を回答したのは期待に違わず感心だが、「今の時点で再入荷の見込みが永遠に無いのか(=本当にこの先あり得ないのか?」との問いに対する「今の時点では無い(ので、今はもう諦めてください)」との旨回答したのは、顧客満足の向上よりクレームやミスの予防を優先せざるを得ない業務プロセス、及び(又は)、各種社内システムが主因と思われ、PL法的な一元的マニュアル対応に窺えるばかりか、そもそも納得するには合理性が脆弱であり、大いに頂けない。(→感情の齟齬大アリ)。

〔8〕3日後、ユニクロが件のポロシャツを今週末もセール対象品にラインナップしたのは、販売・マーケティングのスタッフさんが販売/在庫状況のリアルタイム確認を徹底しないまま、チラシの最終校正を行なえる業務プロセス、及び(又は)、各種社内システムが主因と思われ、明らかに失策。欠品の可能性の注釈を挿れてよしとするのは、企業であるユニクロ側の論理とニーズであり、顧客のそれと全く相容れない。状況は異なるが、ZARAは、MやL等の主要サイズの欠品を確認すると、店頭に陳列している他サイズの同一商品を全てバックヤードに引き下げ、顧客の事前期待をフイにしない様にしていると聞く。本件は、顧客の事前期待をいたずらに高めることに加え、私の様な、前回のセールで残念な思いをした顧客の感情を改めて逆撫でしており、大いに頂けない(→感情の齟齬大アリ)。



▼その他記事検索
カスタム検索

トップページご挨拶会社概要(筆者と会社)年別投稿記事/2013年

この記事へのトラックバックURL