2015年07月30日

水戸岡鋭治さんのトークイベントに参加するの巻

mitooka_0101一昨日、工業デザイナーの水戸岡鋭治さんのトークイベント(※書泉グランデ主催「鉄道デザインの心」発売記念)に参加した。
理由は一点、8年前佐賀で偶然出会った素敵な通勤電車を作った人の人となりと思考習性が肌で知りたかったからだ。

「作るべきは芸術ではなく、商品。アーチストではなく、職人たれ。アーチストは理想」。
水戸岡さんは、クライアントではなく利用者(最終顧客)のために良い仕事をし、良い商品を作るよう、絶えずこう自戒しておられるという。
その口調と態度は正に職人のそれで、昨今流行りのプレゼン然したプレゼンと真逆だったが、底流に[仕事][個人][社会]の各々と連関に対する深遠な哲学、そして、その信念を強烈に感じた。

最も強烈に感じたのは、もはやリビングと言うべき、ソファや大きな窓をしつらえた電車(※以下、イメージ画像)を作り、時速15キロでの走行を構想している(が、現時点では周囲になかなかピンと来てもらえていない。苦笑)旨のお話だ。

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この構想における水戸岡さんのココロは何か。
誤解を恐れぬ私の理解(笑)は、以下の通りだ。
車両に大きな窓をしつらえ、時速15キロで走らせれば、線路沿いの花が一つ一つ見えるようになるし、線路沿いの家の中が見えるようになる。
普段見過ごしている一輪の花がつぶさに見れるようになれば、乗客は自然と笑顔になり、笑顔の人を見た人は自分も笑顔になる。
また、電車から家の中が丸見えで恥ずかしい路線住民は、見られても恥ずかしくないよう、家具や調度品を新たにしつらえたりして、部屋を綺麗にするだろう。
本来、プライベートと公共は境が無く、相互かつ不断に好連関、好影響し合うものだ。
ヨーロッパの個人に『この公園はオレの公園だ!』と言う人が少なくないのは、そういうことだ。
経済のための経済は無く、良い仕事が良い商品を恵み、良い商品が人と社会に誇りを恵む。
平和には誇りと名誉が必要だ。
良い商品が人を良い人に、町(社会)を良い町に変える。

水戸岡さんは、ひと言「カッコ良かった」。
徹底した現実(実用)主義者であられると同時に、個人と社会の善性、可能性を信じる熱き理想主義者に窺えたからだ。
社会の変革を唱える人は相応に居るが、それには構成員であり、また、運命共同体でもある個人が良い仕事、良い商品作りに専心するのが最有力かつ不可欠だと、かくも分かり易く、ストレートに提唱、具現している人は殆ど居ない。
結局、水戸岡さんの商品が素敵なのは、作り手がカッコ良いからだろう。
8年前、水戸岡さんの商品を利用できて、そして、一昨日水戸岡さんにお目にかかれて、本当に良かった。



★ご参考/その他、印象に残った水戸岡さんの信念(※私の理解)

「JR九州と25年戦った」と本で書かれているが、「戦う」というのは、「自分の意見を言う」ことだ。

良い仕事をするには、良い社長、良いリーダー、良い理解者と出会う必要がある。
私の仕事仲間には自分より優れいてる人が沢山居るが、遺憾ながら彼らは必ずしも(社会的に大きく)認められていない。
良き理解者と出会えていないからだ。

仲間の「良い仕事」に嫉妬することが少なくない。
その時は、「そんなことでどうする!」と、自分で自分の頭を切開手術する。

(与えられた、当初の)予算に収まる仕事はロクなものではない。
予算に収めてもヒットしなければ、そもそも仕事をする意味がない。
ヒットすれば、超えた予算は帳消しになるもの。
予算は「与えられる」ものではなく、「取りに行く」もの。

ヒットを打たなければ、次の仕事が無いし、そもそも仕事が楽しくない。

私は凡そ自分でアイデアを考えない。
人や本を、もっと言えば、それらから受けた感動をもとに、アイデアを考える。
人や本のアイデアは、当事者の思い出の生まれ変わりであり、思い出は感動の帰趨だからだ。
自分は商品の作り手であり、また、この自己習性からも、私は「感動を後世に伝承する」責任を負っている自覚がある。

学問を修める、勉強をするのは、自分の適性を知るためだ。
人は、自分の適性が分かれば、人生が楽しくなる。
社会が(あるべき姿に)変わるには、個人が適性を理解、活用すること、「自分の意見を言う」こと、が欠かせない。



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この記事へのコメント
当日の模様が、日経ビジネスでも紹介されているようです。
日経と堀さんの、同じトークショーを聞いた上での抜粋・構成に対する着眼点の違いが面白いですね。(*^_^)v

【水戸岡鋭治氏が語る鉄道デザイン】
ベルサイユ宮殿に負けない「或る列車」
40年前のカボチャを“黄金の馬車”に
http://nkbp.jp/1MoKZ55
2015年8月に営業運転が始まったJR九州の「JR KYUSHU SWEET TRAIN『或る列車』」。
大分-日田間を2時間半かけて走り、その間にスイーツ付きフルコースが出る2両編成
の観光列車だ。デザイナーの水戸岡鋭治氏が、『或る列車』を語る。
Posted by hisa at 2015年09月16日 08:10
hisaさん

こんにちは、堀@キャタリストです。
いつも駄ブログを精読くださり、本当にありがとうございます。(礼)

本件は未知でした。
hisaさんの情報収集力に、改めて敬意を表します。(礼・笑)

成る程、日経の記事と私のブログは、同じトークイベントに参加したとは思えないくらい、着眼点も、感心感動点も、全く違いますねー。(笑)

日経の記事のそれはやはりその名の通り「モノづくり」で、「水戸岡流モノづくりプロセス」と、某番組で言う所の「水戸岡さんの仕事の流儀(笑)」にフォーカスが当たっているように思います。
一方、不肖私のそれは、唯一無二の感心感動実用物を作らずにはいられない、自身の思考と人生哲学、即ち、人となりと思考習性、にフォーカスを当てており、日経の記事のそれより深いレイヤーを論じています。
勿論、両者に良否や優劣はありませんが、私と同様、「将棋が滅法強い」渡辺明棋王もさることながら、やはり「勝負&人生が滅法強い」羽生善治四冠の方に強く魅かれてしまう人でしたら、自画自賛で恐縮かつ不遜ですが、私の着眼点の方が参考になる、ないし、満足いただけるのではないでしょうか。(笑)
Posted by 堀@キャタリスト at 2015年09月16日 11:44