2005年05月07日

某高級家具に幻滅するの巻

以前、ユーザーさん(Tさん)とある自動車販売店へ行った時のこと。
後で、Tさんは以下の内容を私に吐露した。
┌──────────────────────────────

│私はこのお店で車を買いません。

│お店の人が暇そうにしているにも関わらず、
│展示してある車や店内の各部が埃だらけでした。

│このお店で車を買うと、納車される車は、
│きっと同じように埃だらけのような気がします。

│○○(※車の名称)は××(※芸能人の名前)が宣伝していて、
│良い印象を持っていたけれど、幻滅です。

│もうこの店へ行くことは無いでしょう。

└──────────────────────────────

日本人にとって、自動車は高額耐久消費財であると同時に夢である。
これは、かつて販売現場に居た際、強く感じていたことだ。

あるお客様は、納車後にどのようなパーツを装着する予定なのか、各種資料を使って、長時間に渡り私に熱く語ってくださった。

あるお客様は、外板色を選択する際に家族会議を開き、それでも決めあぐねた挙句、購入候補色の試乗車を全て自宅駐車場に停め、最もご自宅が栄えるとお感じになられた外板色を選ばれた。

Tさんが幻滅したのは、抱いていた夢が踏みにじられたから、に他ならない。



商品(の購入)に対する夢が踏みにじられるのは、必ずしも店頭とは限らない。

先月末、私は彼女と都内某所に出かけた。
途上、ある高級家具のショールームに入った。

展示されている商品はいずれも結構な値段が付けられていたが、なるほど素敵なデザインで質感も高く、人気の理由がうかがえた。
「可能なところは節約をして、次に引っ越す時はベットを買いたいね」、と二人で晩御飯を食べながら語り合った。(笑)

今日、その夢は思いがけず踏みにじられた。(涙)

またしても都内某所を二人で歩いていると、上述の家具のブランドロゴが横に大きくペイントされているトラックを見かけた。
「いいね〜きっとあのマンションに住んでいる人が、何か買ったんだよ!」とつぶやいた瞬間、運転席でふんぞり返っている人の姿が目に飛び込んできた。
なんと、彼は自らの足をメーターパネルの前に投げ出し、喫煙していたのだ。
その時、彼女は次のように言った。

┌──────────────────────────────

│あんな風に運ばれてくるのを見ちゃうと、もうあの家具は買えないね。

└──────────────────────────────



企業が商品(の購入)に対する夢を消費者に抱かせるのは容易ではない。
だが、それが何らかの形で叶ったとしても、それを踏みにじる事業活動は、経営的には勿論のこと、商道徳的にもNGではないだろうか。

人は自らが裏切られたことを忘れない。



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この記事へのコメント
ご無沙汰しております。メルマガを読ませていただいてこちらにきました。

気に入っていた家具の会社の配送実態を知って気を落とされたとのこと。心中お察しします。

僕は物流の勉強をしているので今回のお話を読んでつい書き込みをしてしまいました。

会社のロゴを載せた車を運転するドライバーはブランドそのものを背負っていることを忘れてはいけませんよね。最近は多くの会社がそういう運行管理をし始めているようですが、ドライバーのほとんどが社員ではなくアルバイトであるということなどからなかなか難しいようです。

大手の物流会社のトラックでも「この車は法定速度を遵守します!」なんていうステッカーを貼っていながらとんでもないスピードを出して走っていたりします。一般消費者があるべき物流の姿を考え始めなければならないのかもしれません。

(なんだか関係のないことまで書いてしまいました。すいません!)
Posted by デミオのたかし at 2005年05月17日 01:51
まあ、人の感じ方はそれぞれでしょうが...
個人的にはそこまで「片思い」されちゃう家具メーカー(というか運転手)が
可愛そうな気がします。
待ち時間も車内で背筋を伸ばして微笑んでいれば良かったんですかね??

ハッキリ言っちゃうと何か「ストーカー」っぽいんですけど...
一方的に裏切られた気持ちになるのは、まあ勝手っちゃあ勝手なんですが。

彼らが家具をぞんざいに扱っていたり、明白な道交法違反を犯していれば
この非難はまだ理解出来るのですが。
前述の店内・商品が埃だらけの場合と明らかに観点が違い過ぎませんか?

そこまで重箱の隅を突付く事に意味があるんでしょうか。
こういう感性の方が上におられると色々と大変そうですね。
Posted by どうなんでしょうか? at 2005年05月19日 22:35
 いつも興味深く拝読しております。

 さて、今回の件ですが貴サイトの趣旨に添えば取り上げられる事は何ら不思議な事はないネタであると思いますけれど、某高級家具を購入する意志のない第三者の目から見た場合、一方的であまりにも理不尽な言葉に思えてなりません。
 たった一人の為に全体の評価が下がると良く言われますが、木を見て森を見ずという言葉もあります。目撃した配送員の行動は目に余る光景に見えた事でしょうが、その影でその家具を一所懸命に作っている方の努力は無視されてしまっているように感じてしまいます。今まで貴サイトに強い感銘を受け共感しておりましたが、少なからず今回の記事によりその幾らかはメッキの如くはげ落ちた事を大変残念に感じます。

 それでは、これにて失礼させて頂きます。
Posted by NEMO at 2005年05月28日 08:17
NEMOさんが“理不尽”と感じられたのはどのへんでしょうか?
製造、販売、配送、アフターフォロー、電話対応等のどこが欠けてもブランドは作れません。
高級であればあるほど、その意識を高く持っているのがブランディングの考え方だと思います。
私は職業上、ブランド構築で苦労をしている人間ですが、このような配送者は許せません。そして、家具を一所懸命に作った人も許さないと思います。
Posted by ミヤモト at 2005年06月05日 02:38
 ミヤモト様

 初めまして。
 レスが遅くなりまして申し訳ありません。

 さて、私が理不尽と感じた理由は至極単純で、ブログ執筆関係者の一言があまりにも一方的に感じたからです。全てをあまりにもバッサリと切り捨てられたようで、拝読していて気持ちの良いものではありません。配達員の行為は決して褒められたものではないかもしれませんが、あの一言はあまりにも、我が侭で暴力的で嫌悪感さえ感じました。家具を作る職人達も配送員の行為を非難するでしょう。けれど、品物を見ずに全てを判断されたのでは職人達も浮かばれないのではないでしょうか? 品物の良さとブランドイメージの問題は別であり意見がすれ違うとは思いますが、物を作る職人の立場なら理不尽と感じるのではないかと思います。

 それでは、これにて失礼させて頂きます。
Posted by NEMO at 2005年06月11日 20:51