2006年02月12日

アートディレクター、佐藤可士和さんのインタビュー番組を見るの巻

標題の番組は、NHKの「プロフェッショナル、仕事の流儀」だ。
この番組には触発されることが多く、できる限り録画して見るようにしている。

私は、これまで佐藤可士和さんのことを知らなかったものの、ホンダの初代ステップワゴンの宣伝を担ったお一人だと聞いた瞬間、ビビビと来るものがあった。(笑)
というのも、初代ステップワゴンが発売された頃、私は自動車メーカーの国内販売業務に従事しており、ステップワゴンのお陰で苦戦を強いられた経験があるからだ。(爆)
初代ステップワゴンは、走る、曲がる、止まる、という車の基本性能において、競合優位に乏しかった。
が、「RV車が乗用車感覚で運転できる」、及び、「RV車の有するベネフィットが安価で得られる」、という商品コンセプトにおいて、競合優位に満ちていた。
それは「こどもといっしょにどこいこう」というコピーとして世の中に広く知られ、ステップワゴンは大ヒットした。

商品コンセプトとは、開発者からすると「その商品を創った最大動機」であり、お客様からすると「その商品を買わなければいけない理由」だ。
宣伝の本質(意義)は、奇をてらった表現で商品を厚化粧することではなく、開発者にとっての商品コンセプトを、お客様に対して、「他の商品ではなく、その商品を買うべき理由」としてわかり易く伝えることにある。
私は、このことを、クルマのチラシ作りで学んだのだが、なんと佐藤さんは、このステップワゴンの宣伝業務で学んだという。
これは、何とも奇遇であり、光栄だった。(笑)

ステップワゴンの大ヒットを見届けた後、佐藤さんは、博報堂を退職された。
そして、自らを看板として仕事をスタートし、現在に至っている。
佐藤さんが手がけたヒット商品は、”スマップ”のCDやキリンの”極生”など枚挙に暇が無い。

人は、成功を体験し、成功の因子、即ち、物事の本質を知る。
佐藤さんのコメントは、論理的で無駄が無い。
手がけられる仕事と同様、核心を突いている。
(※末に触発されたコメントを転機させていただいた。)

私は、今の佐藤さんには、世の中の物事、及び、それらに対し自分が何をすべきか「見えている」のだと直感した。
佐藤さんは、仕事を通じてそれを具現化し、自らの思考を確信すると同時に、世の中へ教示しておられるに違いない。

ちなみに、佐藤さんのお歳は、私より一つ上だった。
一年後、私は、今日ブラウン管越しに見た佐藤さんと同等以上のプロフェッショナルでありたい。



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 【1】茂木健一郎さんの「(佐藤さんの話を伺っていると、)ヒットデザインを創るのは、感性のみならず論理に負うところも多いみたいですね?」の問いに対する佐藤さんのコメント
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(普段生活していて、)「これおもしろい」とか、「つまんない」とか感じるじゃないですか。
その時に、「どうして(自分はこれを)おもしろいと思うんだろう」ってことを、相当突き詰めて考えるんですよ。
そうすると、色々バラバラとキーワードが出てきたり、自分の思考も紐解かれていくんですけど、(結果、)「それをこういう風にうまく並べ替えると、なるほどこういうロジックでおもしろいと感じるのか」ということが整理できたら、(ヒットするデザインを創ることが、感性的のみならず)すごく論理的になる。

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 【2】茂木健一郎さんの「どうすればモノが売れると思うか、メッセージが(お客様へ)伝わると思うか?」の問いに対する佐藤さんのコメント
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まず際立たないと、選んでもらえないし、意識の中に入ってこないじゃないですか。
だから、コンセプトというか、「どういうつもりでこれを創っているのか」、とか、「その『創っているつもり』をどう表現するのか」、の精度がすごく高くないと(モノは)売れないと思う。
ものすごく、こう、磨くっていうか、ピッカピカにコンセプトが磨かれていないと(モノは)売れないと思う。







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