2000年02月01日

【5】「社員のやる気」は、経営者が担保する。(2)

なぜ、経営者は、社員のやる気を担保できないのでしょう。

二つ目の理由は、「社員のやる気」を担保するのに、<報奨金の増額>や<旅行キャンペーン>を代表とする金銭の追加提供以外の解決策を講じないから」です。
たしかに、金銭の追加提供は、「社員のやる気」を高める有効な解決策です。
しかし、それは、期間限定的に実行される為、効果の持続性が乏しく、社員のやる気を担保する抜本的な解決策とは言えません。

余談ですが、これらの解決策を愛好する経営者に限って、朝礼や会議で、「このままじゃ今月は終われないぞ!」など、社員を精神論からのみ叱咤激励しています。
この行為は、経営者自身にとっては満足感や達成感はあるものの、社員にとっては迷惑かつ「またか」以外の何物でもなく、彼らのやる気を高めるどころか殺いでいます。

なぜ、経営者の多くは、「社員のやる気」を担保するのに、金銭の追加提供以外の解決策を講じないのでしょう。
それは、「社員のやる気」を担保する為に自分ができることは、金銭の追加提供以外無い、と考えているからです。

なぜ、経営者は、「社員のやる気」を担保する為に自分ができることは、金銭の追加提供以外無い、と考えるのでしょう。
それは、社員が働くのは金銭を得たいが為である、と考えているからです。

なぜ、経営者は、社員が働くのは金銭を得たいが為である、と考えるのでしょう。
それは、社員は生活できるだけの金銭があれば働かない、と考えているからです。

なぜ、経営者は、社員は生活できるだけの金銭があれば働かない、と考えるのでしょう。
それは、社員を自分と同じ”人”として見ていないからです。

たしかに、経営者は大変です。
日々、社外マーケティングPDCAはもちろん、回収や資金繰りに追われます。
精神的に孤独を感じ易く、しばしば社員が呑気に見えます。
経営者が社員を自分と同じ”人”として見れない気持ちは、よくわかります。

しかし、本件は避けるのが賢明です。
なぜなら、生来持っている資質において差こそあれ、社員は経営者と同じ”人”だからです。

トップセールスレディのBさんにも、不遇な時代がありました。
Bさんは、営業レディとして胸を膨らませて入社したものの、店舗へ配属されると、雑用ばかりやらされました。
直属の上司である店長を筆頭に、全店舗スタッフから「気楽な腰掛け新卒女子」と見なされ、無視同然の扱いを受けました。
Bさんは、ごくたまに接客するチャンスを得、ぽつりぽつり新車を売りました。
が、彼らから褒められるどころか、「片手間的に売られるとかえって迷惑である」旨の嫌味を言われました。
Bさんは、辞意と辞表を胸に秘めて会社へ行くようになりました。

入社して三年後、Bさんに転機が訪れました。
抜擢され、新任店長研修を通じてF社長から社外及び社内マーケティングを叩き込まれた新店長(※”G店長”と表記)が、Bさんの上司になりました。

朝、Bさんが会社に着くと、G店長は、彼女に、元気な声で「おはよう!」と挨拶を投げかけました。
Bさんがゴミを捨てに行くと、G店長は、彼女に、「ありがとう!」と言いました。
Bさんが新車を売ると、G店長は、「本当にありがとう!」と言い、あたかも自分のことのように喜び、Bさんと強く握手しました。
Bさんが営業技術に関する不安を吐露すると、G店長は、「大丈夫、お前ならできる!自信を持ってお客さまに当たってみろ!」と言い、Bさんが自信がつくまでロールプレイングに付き合いました。
Bさんが翌月の販売目標と活動計画の立案にあぐねていると、G店長は、「大丈夫、お前ならできる!どうせやるなら一番を目指せ!」と言い、Bさんが納得できるものができるまでずっと付き合いました。

Bさんは、自分をセールスレディとして見、体を張って接してくれるG店長に、感謝と敬意を抱きました。
そして、以下の思いが日増しに強くなり、やる気がみるみる高まっていきました。
「私は、G店長からもっと褒められたい!」
「私は、G店長の笑顔をもっと見たい!」
「私は、全身全霊サポートしてくれるG店長を男にしたい!」
「だから、私は、もっともっと車を売りたい!」

Bさんは、ブレークしました。
大きく高まったやる気は、G店長から授かった超高品質な社外マーケティングの実行を促しました。
多くのお客さまが、競合企業では味わえない、満足度の高い新車購入を経験しました。
Bさんは、若干26歳で、全系列販売会社のトップセールスレディになりました。

ブレークしたのはBさんだけではありませんでした。
他の営業マン、営業レディも、次々ブレークしました。
A社は、F社長が着任してから約二年で、売り上げがおよそ倍になりました。

BさんとA社の逆転劇が示唆するのは、「経営者が、孤独感に基づいて、社員を自分と同じ”人”として見ないことは、収益向上機会の多大な損失である」ということです。
経営者は、「社員のやる気」を担保する、金銭の追加提供以外の解決策を案出、実行しなければいけません。(【6】へ続く→


※参考記事
新しい洗濯機が納品されるの巻


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