2006年07月27日

フェアレディ2000(SR311)を見るの巻

450320a6.JPG所用があり、銀座へ行った。
空き時間ができたので、日産本社ギャラリーへ立ち寄った。

一階のショールームには、ブルーバード、スカイライン、シルビア・・・が展示されていた。
といっても、それらはいずれも旧車だ。(笑)
今日は、「歴代日産車の展示イベント」が催されていた。
展示してある車の大半は、1960〜1970年代に創られたものだ。
当時、幼稚園もしくは小学校へ通っていた私にとって、馴染みは薄い。
しかしながら、私は、フェアレディ2000(SR311)を見た時、松田聖子の如く、ビビビときた。(笑)

この”貴婦人”は、1967年に創られた。
私は、1966年生まれだ。
今日、初めて、この”貴婦人”の実車を見た。
にも関らず、私は、この”貴婦人”から、柔らかな懐かしさと鋭いインパクトを感じた。
私は、何回もデジカメのシャッターを押し、長時間ジロジロ見まくった。(笑)
いくら見ても、この”貴婦人”を見飽きることはなかった。

私は、この”貴婦人”が創られた過程及び所以を知らない。
が、私は、この”貴婦人”から、創り手の強烈な意思、いや、覚悟を感じた。

覚悟とは、物事を、「判断」ではなく、「決断」せしめる強烈な意思を持つことだ。
ここで述べているように、「決断」と「判断」は、「意思決定の最終基準が非合理性か否か?」において区別される、似て非なるものだ。
「決断」するには、豊富な知見のみならず、明確な「価値観」(=「〜すべき、〜あるべき」)と「理念」(=「〜なりたい、〜したい」)、さらに、リスクを負うに足る「精神の逞しさ」が必要だ。

ビジネスマンの多くは、残念ながら、覚悟をしていない。
なぜならば、覚悟するに足るインセンティブ(誘引)を自身や所属する組織の中から見出せていないからだ。
ごく少数のビジネスマンが覚悟して行った所作及びその成果物が、競合優位に満ち溢れ、お客さま、社員、取引先といった利害関係者の心を強く動かすのは当然だ。

企画開発者は、この”貴婦人”を創っている最中、社内で散々叩かれたのではないだろうか。
企画開発者は、それらに耐え、自分の車に対する価値観や理念を信じ、退職届を胸に秘めながら懸命に創ったのではないだろうか。
この”貴婦人”が、今尚多くの人から愛され、初見の私を触発させるのは、この車から企画開発者のこうした生き様、即ち、覚悟がうかがえるからではないだろうか。

昨今、軽自動車がよく売れ、登録車(=軽自動車、小型特殊自動車および二輪の小型自動車を除いた車両)が売れなくなっている。
これは、日本人ドライバーの大半が、豊かな購買力を持ちながらも、登録車よりも軽自動車の方が費用対効果に優れている(=得られる価値が支払うコストを大きく上回っている)と感じている、ということだ。

私は、軽自動車を軽んじていない。
が、これは遺憾だ。
たしかに、登録車は、とりわけ税金や保険といった維持コストにおいて、軽自動車よりも劣っている。
しかしながら、軽自動車は、成り立ちの関係上、相当の制約を受けて作られている。
軽自動車と比べると、登録車は、さほど制約を受けずに作られている。
現在発売されている登録車の大半が、ドライバーに、軽自動車より劣った維持コストを甘受させるに足る価値を提供していない、という事実は、元自動車メーカー社員&車好きオヤジとして、遺憾と言う他ない。

オートギャラリーのレポートによると、軽乗用車の2006年6月度販売台数ランキングは、以下の通りだ。
1位:ワゴンR(スズキ)18,871台
2位:ムーヴ(ダイハツ)12,003台
3位:タント(ダイハツ)10,068台
4位:ライフ(ホンダ)9,706台
5位:ゼスト(ホンダ)8,608台

ドライバーの多くが支持している軽自動車は、コスト優位性に富む、精緻な「道具」だ。
登録車が、軽自動車を越えるコスト優位性を持つことはない。
登録車は、この”貴婦人”のように、企画開発者が覚悟して創った、軽自動車にはあり得ない価値でいっぱいの「愛玩物」にならなければいけないのかもしれない。

この”貴婦人”は、私に、ビビビのみならず(笑)、有意義な触発を与えてくれた。
ここに感謝の意を表すと共に、この文章を読んでいる方にもビビビと触発を与えるべく、この”貴婦人”の美麗な容姿を以下お目にかけたい。(笑


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この記事へのコメント
5
>登録車の大半が、ドライバーに、軽自動車より劣った維持コストを
>甘受させるに足る価値を提供していない、という事実
全く同感です。

が、軽自動車はおっしゃった「コスト優位性に富む、精緻な「道具」」というのが主体の理由だけで売れているのでしょうか。

もちろんその道具としての利便性を高めていったという理由もあると思いますが、決められた枠組みの中で、その枠を最大限利用しながら、それまでの軽自動車のイメージの既成概念をぶっ壊した車も多々あります。
具体的な車名はあげませんが、そういった車が、軽自動車の費用対効果を世間一般に認知させ、登録車を食ってしまったということなのではないでしょうか。

最近の軽自動車の、道具としての利便性、そしてファントゥドライブを実現した車種。ガソリン高騰の今だからこそ見直されるときが来ているのではないかと思います。
Posted by ヤッシー at 2006年08月04日 01:02
5
ヤッシーさん

> が、軽自動車はおっしゃった「コスト優位性に富む、精緻な「道具」」というのが主体の理由だけで売れているのでしょうか。
6月の軽乗用車の販売ランキングトップ5は以下の通りです。
1位:ワゴンR(スズキ)18,871台
2位:ムーヴ(ダイハツ)12,003台
3位:タント(ダイハツ)10,068台
4位:ライフ(ホンダ)9,706台
5位:ゼスト(ホンダ)8,608台
私は、これらの結果から、軽自動車が売れている主な理由を、「『4人以下の乗員を、登録車と比べて低コストに、また、登録車と比べて見劣りしないドライバビリティと快適性を提供して移動させられ、かつ、登録車と比べて低コストに維持できる』、という価値を、登録車と比べて低コスト又は同等のコストで入手できるから」、だと考えます。
Posted by at 2006年08月04日 11:52
5
私は、自動車が持つ価値は、「機能系価値」と「感性系価値」の二つに大分できる、と考えています。
持っている価値の内、「機能系」が「感性系」を凌ぐ場合、その自動車は「道具」としての色彩が強くなります。
それに対し、「感性系」が「機能系」を凌ぐ場合、その自動車は「愛玩物」としての色彩が強くなります。
私は、たくさん売れている軽自動車の価値は、「機能系」が「感性系」を凌ぎ、道具としての色彩が強い、と考え、それらを「精緻な道具」と表しました。
Posted by at 2006年08月04日 11:53
5
> 決められた枠組みの中で、その枠を最大限利用しながら、それまでの軽自動車のイメージの既成概念をぶっ壊した車も多々あります。
全く同感です。
私もこのことは理解しておりましたが、それからすると、「今の軽自動車」という表記は、「現在発売されている全ての軽自動車」を意味することになり、不適当ですね。
先に挙げた販売ランキングトップ5を掲示すると共に、該表記を、「ドライバーの多くが支持している軽自動車」に訂正させていただきます。
ヤッシーさん、貴重なご指摘をありがとうございました。(礼)
Posted by at 2006年08月04日 11:54
5
若輩者の生意気意見失礼いたしました。

それにしても、登録車のふがいなさは何とかしてほしいものです。
税率がきちんと暫定ではなく正規の税率になれば、少しは消費者の見方も変わってくるのかなとも思います。

ただ、現状の軽自動車有利という流れを打破するのは非常に厳しいのではないかと思います。
世の中景気がよくなってきたとはいえ、雇用にそれが反映されるのは一般的に2〜5年といわれています。
トヨタのレクサス、ホンダがチャネルを一本化してアキュラ追加、なんだかますます車の2極化が進んでいきそうですね。

手ごろな価格の車好きがワクワクする魅力的な車でませんかね。

フェアレディを見習ってほしいものですね。
Posted by ヤッシー at 2006年08月04日 23:31
5
ヤッシーさん

> 若輩者の生意気意見失礼いたしました。
そんなことはありませんよ〜。
ヤッシーさんのご指摘は、大変助かりました。
それから、私は、年齢で人を評価しません。
私は、ヤッシーさんは、高い志を持った、優れたビジネスマンである、と思っています。
どうぞ、今後ともご支援のほどよろしくお願い申し上げます。(礼)
Posted by at 2006年08月05日 05:32
5
> 税率がきちんと暫定ではなく正規の税率になれば、少しは消費者の見方も変わってくるのかなとも思います。
それは、間違いないと思います。
軽自動車を創っているメーカーには恐縮ですが、私は、現在軽自動車が受けている優遇的税制は、実態にそぐわず、制度疲労をおこしている、と考えています。
ただ、これについては、政治の問題が絡んできますので、一筋縄ではいかないでしょう。
Posted by at 2006年08月05日 05:33
5
> それにしても、登録車のふがいなさは何とかしてほしいものです。
> フェアレディを見習ってほしいものですね。
同感です。
ただ、これまた一筋縄ではいかないでしょう。
私が考える、主な理由は以下の通りです。
1.中長期のスタンスで、真に差別化された価値を創出するに足る財務体質を有しているメーカーが少ないから。
2.中長期のスタンスで、真に差別化された価値を創出するに足る組織力(=戦略立案&実行力、人材育成力、業績評価力など)を有しているメーカーが少ないから。
私は、各自動車メーカーの自己改革を強く期待しています。
Posted by at 2006年08月05日 05:36
>高い志を持った、優れたビジネスマンである、と思っています。
ありがとうございます。腰痛持ちの動けない口だけ人間になりつつありますが、がんばっていきます!

すっかり話が軽自動車の話になってしまいました。
せっかくフェアレディの写真を掲載していただいているのに、もったいないですね。

フェアレディというと、やはり美しい流麗なフォルムというものの印象が強いです。
先代は少々バブルというものにに振りまわされてしまった感がありますが、現行はなかなかのフォルムだと思っています。

それにしても当時の車でこのデザイン。美しいですね。
おそらく今日では歩行者保護や、対衝突安全性の問題で難しいところもあると思いますが、ぜひがんばってほしいと思います。
Posted by ヤッシー at 2006年08月05日 22:58
ヤッシーさん

> 腰痛持ちの動けない口だけ人間になりつつありますが、がんばっていきます!
快方を祈念しております。(礼)
Posted by at 2006年08月06日 10:12