2006年09月17日

新しい洗濯機が納品されるの巻

今日、先日購入した新しい洗濯機が納品された。

納品担当者さんが古い洗濯機を引き取るや否や、私は、洗濯機置き場の清掃を始めた。
機械も、人と同様、整備された環境下で最高のパフォーマンスを発揮するものだ。(笑)

古い洗濯機の設置下部は、想像していたよりも激しく汚れていた。
私は、納品担当者さんに、新しい洗濯機を設置するのを少し待ってくれるようお願いし、洗濯機置き場を汗だくになって磨いた。

5分ほど磨くと、洗濯機置き場はマズマズ綺麗になった。
私は、納品担当者さんに、新しい洗濯機を設置してくれるようお願いした。

納品担当者さんは、あっという間に、新しい洗濯機を設置してくださった。
私は、綺麗になった洗濯機置き場に置かれた真新しい洗濯機を見て、なぜだか大きな達成感を抱いた。(笑)

納品担当者さんは、販売したビックカメラとは異なる企業(※以下A社と記述)の方(※以下Bさんと記述)だった。
A社は、引越しサービスを手がけている。
A社にとって、家電製品の納品、即ち、移動&設置業務は、得意分野なのかもしれない。

Bさんは、概ね、good jobをしてくれた。
対応は、礼節をわきまえた、気持ちの良いもので、仕事ぶりは、とてもテキパキとしていた。
蛇口の腐食箇所の改修を提案してきたのは意外だったが、提案内容がわかり易かったことに加え、実作業が速やかだったので、満足した。

「概ね」という言葉を付したのは、ひとつ残念なやり取りがあったからだ。
それは、納品に関する一連の作業が終わった直後の以下のやり取りだ。

【Bさん】
以上で全ての作業は終了しました。
ご協力ありがとうございました。

【私】
協力どころか、(洗濯機置き場の)清掃に時間がかかってしまい、どうもすみませんでした。

【Bさん】
いえいえ。
もしお気づきの点等ございましたら、後ででも結構ですので、どうぞご連絡ください。
それから、こちらのご記入と投函をお願いしたいのですが・・・。
(と言って、私に用紙を手渡す。)
これを投函していただけると、給料が増えるもので。(笑)

【私】
ん。
(と言って、手渡された用紙を見る。)
これは、顧客満足度調査の用紙ですね。
回収件数が増えると、あなたさまの給料も増える報酬体系になっているのですね。(笑)

【Bさん】
はい、そうなんです。(笑)
是非よろしくお願いします。
では、失礼致します。


先述の通り、私は、Bさんの業務そのものには満足していた。
が、このやり取りのせいで、私の満足はかなり減少した。

なぜ、私の満足は減少したのか。
その理由は主に以下の二つである。

1.「Bさんのgood jobは、私の満足を高めるためのものではなく、自身の報酬を高めるためのものだった。」と思い知らされたから。
2.実際の満足状態を確認することなく、大きく満足している旨を調査用紙に記入するよう圧力をかけられたから。

「所詮、人は、打算的な生き物だ。」と言われている。
「人は、自らの利益を得るべく、然るべき行動を起こす。」というのは、もしかすると真実なのかもしれない。
しかしながら、お客さまは、売り手が自己利益の確保をあからさまにして行動した(と察せられる)場合、それがいかに期待値を超えるものであっても、満足しないし、最悪、興醒めする。

繰り返すが、Bさんが行った業務そのものは、good jobだった。
もし彼が、給料ウンヌンの話をせずに調査用紙を渡してくれたなら、私は喜んで良い評価を記入したに違いない。
自己利益の確保を主眼とした作為や圧力は、お客さまを幻滅させるものだ。

とは言え、実のところ、Bさんに罪は無い。
罪があるとすれば、彼を雇用しているA社の経営者にある。

なぜ、Bさんではなく、A社の経営者に罪があるのか。
それは、社員をミスリードしたからだ。

私は、A社の経営者は(中間管理職を介して、)社員と凡そ以下のようにコミュニケートした、と推量する。

みなさん(=社員)がよりハッピーになるには、会社の収益を持続的に伸張させねばならない。

2.会社の収益を持続的に伸張させるには、お得意さま(固定客)を増やさなければならない。

3.お得意さまを増やすには、顧客満足を向上させなければならない。

4.顧客満足を向上させるには、お客さまの満足度合いを知らなければならない。

「お客さまの満足度合いを知るには、お客さまの声を聞くことが有効である。

6.お客さまの声を聞く為に、私(=経営者)は、みなさんに顧客満足度調査用紙の記入と投函をお客さまにお願いすることを求める。

7、お客さまへお願いする気がいや増されるよう、みなさんには回収件数に対して所定の報酬を支払う。

また、社員に伝わった(=社員が理解&納得した)のは6と7だけで、1から5については殆ど伝わっていない(=理解&納得が得られていない)、と推量する。
なぜならば、Bさんは、自己利益確保を主眼とした行動を躊躇なく起こしたからだ。

経営者が社員をマネジメントする、即ち、経営目標を達成するべく、社員に社外マーケティングに励んでもらうには、然るべき社内マーケティング、その中でもとりわけ、業績評価が大事だ。
つまり、社員が社外マーケティングプランを実行したら、経営者は、速やかに、「何を、どんな理由で、どこまでできたのか」といった業績を評価しなければならない、ということだ。
さもなければ、社員が次回以降実行する社外マーケティングの品質は、高確率で低下する。

報酬は、業績評価の重要事項だ。
自らの業績がお金で定量評価されることは、社員にとって大きな励みになる。

これらのことから、経営者が、自ら企図した社外マーケティングプランを社員に実行させるべく、業績を評価する報酬体系を創るのは、理に適っているばかりか非常に有効だ。
しかしながら、報酬体形を創っただけでは、社員は企図した社外マーケティングプランを実行することにのみ執心し、高確率で実行品質が疎かになる。
これこそ、今回私が体験した残念なやり取りの本質であり、換言すれば、コスト倒れの本末転倒事だ。

経営者は、自ら企図した社外マーケティングプランを社員に実行させるべく、業績を評価する報酬体系を創る際、必ず、企図した社外マーケティングプランを案出、実行するに至った背景、つまり、先述のからの内容を、社員が理解、納得できるよう伝えなければいけない。
それは決して簡単なことではないが、社員とお客さまの満足を高めるために、ひいては、企業収益を向上させるために、経営者はやり遂げなければならない。



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