2006年10月21日

暗闇坂宮下で和食を食らう&真摯に長時間見送られると嬉しい理由の正解を知るの巻

567def00.JPG接客そのものが競合優位となるビジネスを営むクライアントに対して、私が必ず提案する励行事がいくつかある。
そのひとつは、「真摯な面持ちで、姿が見えなくなるまで、お客さまをお見送りすること」だ。
私がこの所作の励行をクライアントに提案するのは、一円たりともキャッシュアウトすることなく、確実にお客さまに喜んでいただけるからだ。
私がこのお見送りを始めたのは、自動車販売会社へ出向していた20代の時だ。
最初の頃は、正直なところ、お客さまに喜んでいただくため、というより、無作法かつ不勉強な自分を赦していただくため、にしていた。(苦笑)

ある時、私は、部下(※以下Yさんと表記)の納車に付き合った。
Yから新車を買ってくださったお客さま(※以下Aさんと表記)は、各部の使用方法の説明をひと通り聞き終えると、Yと私を家の中へ招いてくださった。
そして、談話をしながら、今回Yから新車を買おうと思ったのは、商談を終えて店を出た後、Yと私から真摯に長時間見送られたからだ、と笑顔でおっしゃった。

帰りの車中、私は、Yに「good jobじゃん!」と褒めた後、Yと、「なぜ、Aさんは、あのお見送りをあんなにも喜んだのか」議論した。
Yと私が導き出した答えは、以下の通りだ。

1.あのように見送られると全く思っていなかったから。
2.通例、店を出ると、「用済み客」と思われるところ、そう思われていないから。
3.上客と見られているように思えたから。

当時、これらが正解か否か、わからなかった。
というのも、Yも私も、お客として、真摯に長時間見送られることがなかったからだ。(笑)

とは言うものの、原則、「お客さまは正しい」。
お客さまが、「真摯に長時間見送られて嬉しかった」とおっしゃってくださった以上、Yと私は、その後も、真摯な面持ちで、姿が見えなくなるまで、お客さまをお見送りすると共に、私は、その所作を励行事としてクライアントに提案してきた。

今日、私は、暗闇坂宮下(東京・麻布十番)へ行き、旨い和食を賞味した。

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そして、私は、初めて、お客としてこのように見送られた。
その時の模様は以下の通りだ。

私は、精算を済ませ、席を立った。
すると、店長さんとおぼしき方が、そばにやってきた。
店長さんは、預けていたジャケットを私に羽織ってくださった。
私は、「ありがとうございます」と応えた。

私は、「ご馳走さまでした」と店長さんに声がけし、店を出た。
店長さんは、お礼の言葉を述べながら、私を見送ってくださった。

店は、ビルの地下にある。
私は、地上に上がる階段を上った。
地上に上がった時、ふと目を下にやった。
そこには、店のドアの前でずっと私を見送ってくれている店長さんの姿があった。
店長さんは、真摯な面持ちのまま、改めて私にお辞儀をしてくださった。

私は、驚きと喜びが大いに入り混じった、温かい気持ちになった。
その理由は、十数年前に、かつての部下のYさんと導き出した1から3の回答そのものだった。
2が思いのほか強かったりもしたが、1から3は全て正解だった。

私は、これまでずっと、お見送りという行為に執心してきた。
そして、今日どうにかやっている。(笑)
これは、かつて部下として頑張ってくれたYさんのお陰だ。
私は、この場を借りて、Yさんに改めてお礼を言いたい。(礼)



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