2007年01月21日

「誰も知らない」のDVDを観るの巻

「誰も知らない」(主演:柳楽優弥さん)のDVDを観た。
この作品は、巣鴨子供置き去り事件という実話に基づいている。
ゆえに、メッセージは、非常に多様かつ強烈だ。
私は、見終えた直後、かなり混乱した。

私の胸に最も強烈に突き刺さったメッセージは、「お前は人を赦しているか?」だ。

柳楽優弥さんが演じるアキラさんは、とにかく、他者を赦す。
学校へ通わせず、家事や兄弟の面倒を押し付け、挙句の果てに、置き去りにしていったお母さんを。
万引きの犯人として疑ったコンビニ店主を。
精神的かつ経済的なわがままを主張する兄弟を。

私は、社会人になって以来ずっと、「寛容な人間になりたい」と思い続けてきた。
しかしながら、まだアキラさんには遠く及ばない。
アキラさんの一挙手一投足を見て、そう思った。

アキラさんにあって私にないもの、それは何か?
それは、「人は、幸福になろうとすると、無意識かつ悪気無しに過ちを犯すものだ」との諦観であるような気がする。

アキラさんがこの諦観をどのように習得していったのか、もちろんわからない。
だが、アキラさんが、出生届さえも出してもらえず、社会から認知されてこなかった12年の間にこの諦観を習得したとしても、何らおかしくはない。

私は、正直なところ、アキラさんが習得した諦観を、理解はしているが、習得していない。
だから、「人は、いかなる背景や理由があるにせよ、過ちを犯してはいけない」との考えをもとに、自身に、そして、他者に接している。

私は、アキラさんが習得した諦観を習得したい。
なぜならば、自身を不幸に貶めた他者、即ち、過ちを犯した他者をいくら責めても、概して、自身の不幸度合いは変わらず、それならば、他者を責めるコストを何か幸福になるためのことに投入した方が賢明かつ健全だから、だ。

私は、アキラさんが習得した諦観を習得するために、もっと泥にまみれなければいけない。
そして、もっと様々な深い痛みを知らなければいけない。

それは、決して簡単なことではない。
でも、私は、真のキャタリストとなるべく、やり切りたい。


追伸)
アキラさんがこれからも幸せな人生をおくられるよう祈念しています。(礼)



誰も知らない [DVD]
柳楽優弥
バンダイビジュアル
2005-03-11




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この記事へのコメント
誰も知らないの映画は一時期地元ですこーしだけ話題になりました。
なぜかというと、この映画の挿入歌で、「宝石」というクライマックスに流れる曲を歌っている、タテタカコ(映画にもコンビニ店員役で出演しているようです。)が長野県飯田市出身だったからです。
県内ニュースの特集などで取り上げられたこともあって、そこそこ反響を呼んだようですが、私まだ見てません。(汗)
話しについていけるように、そのうち借りてきてみようと思います。(汗)
Posted by ヤッシー at 2007年01月22日 12:59
ヤッシーさん

タテタカコさんのお名前は、お初でした。
が、コンビニ店員さんの役をなさっていた方と聞き、お顔はすぐに思い浮かびました。(笑)
ヤッシーさんは、この作品をご覧になっておられないとのこと。
柳楽さんだけでなくタテタカコさんもアジのある良い演技をなさっていますので、是非一度ご覧になってみてください!
Posted by at 2007年01月23日 06:59