2007年05月04日

「バレンタインデーの仕掛け人」こと小平裕さんのお宅に泊まるの巻

67aa2b89.JPG私はチョコレートが好きだ。(笑)
それは、「チョコレートが持つコクと甘さが、私を甘美な気分にさせてくれるから」、だ。(笑)

世の人の内、私と同様の理由でチョコレートを購入する人は少なくない。
それは、「気分が甘美になれること」というチョコレートの一次的(そのものの)価値が優れている(=他の食物で代替し難い)から、だ。

他方、これ以外の理由でチョコレートを購入する人も少なくない。
例えば、バレンタインデーの折に、女性がチョコレート(※義理チョコは除く)を購入するのは、「バレンタインデーにあやかって、意中の男性に、自分の好意をロマンチックに伝えたいから」、だ。
女性がこの理由でチョコレートを購入するのは、「バレンタインデーは、女性が、意中の男性に、自分の好意をチョコレートに託して伝えて良い日である」という挿話が周知であることに加え、「好意がロマンチックに伝わること」というチョコレートの二次的価値が優れている(=他のモノで代替し難い)から、だ。

ビジネスには、概して、「仕掛け人」と言われる人が居る。
彼らは、挿話を世の中に広め、商品の二次的価値を創出&確立させる人のことで、しばしばプロデューサーと呼ばれる。

成熟社会において、彼らの需要は高い。
というのも、成熟社会では、お客さまの購入意思決定理由として商品の一次的価値を劇的に向上&差異化することが、技術的&文化的に難しくなってきているから、だ。

今回の長野旅行において、私は、バレンタインデーの仕掛け人である小平裕さんのお宅(安曇野市穂高町)に二泊させていただいた。
そして、長時間に渡って小平さんのビジネス観&人生観をうかがい、大いに触発されると共に、それらの原理原則は時代が変わっても不変であることを再認識した。
小平さんの人となり&バレンタインデーの一件については以下の新聞記事画像を、強く印象に残った事項については以下を、それぞれご参照いただきたい。


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【1】
戦争に行き、自分の人生は20歳で終わりだと思った。
その後の人生は、「拾った人生ゆえ、納得できる、悔いの無い生き方をしよう!」と考えながら生きてきた。
今83歳だが、もしタイムマシーンで過去に戻れるとしても、私は今を選ぶ。

【2】
↑のように考えて生きていたため、現役当時、主流のサラリーマン(=「大過無く過ごそう」を是とするビジネスマン)ではなかった。
そんな自分でも良い仕事ができたのは、社長(※森永製菓株式会社)を含めた何人かの上司が自分の考えを尊重し、自分に然るべきコストをかけて育成してくれたお陰だ。
<例1>欧米へ出張した際、マーケティングの大家の先生とたまたま出会い、先生に師事するべく一ヶ月間の休暇を突然申請すると、上司は快諾してくれた。当時日本にはマーケティングの概念が無く、この経験はかけがえのないものとなった。
<例2>貿易部長時代、ペッツを日本に持ち込んだ。(二次的価値がわからない)多くの役員からダメ出しされたが、最後は社長が決断してくれた。結果はご承知の通りだ。

【3】
マーケティングプランを案出する際に留意していたのは、「夢を持つこと」、「目先ではなく、中長期的に成功すること」、「森永製菓という一企業ではなく、日本全体が繁栄すること」。

【4】
優れたマーケティングプランを案出するには、自分には無い解決策や価値観を持つ同志と公私に渡って付き合うといい。(すぐにキャッシュを生み出す確率は低いものの、感性や知見を高める)遊びも必要だ。

【5】
広告は販売のためのものだ。
販売に結びつかない広告は、いかにクリエイティブであっても、意味が無い。
(参考;小平さんが39歳の時に執筆なさった「ACCフェスティバル」開催への寄稿文)

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【6】
社長の秘書を務めた。
オーナー社長の一挙手一投足や意思決定プロセス&結果を間近で見れたことは、大変勉強になった。

【7】
子会社の社長をやっていた時、いつも、三年先、五年先の経営目標数字を頭に入れていた。
これが無いまま経営を行うことは、羅針盤を持たずに航海に出ることに等しい。

【8】
マネージャーの仕事の中で、とりわけ大事なのは、見所のある部下を見つけ、しごくこと。
部下を育成する際、徹底的にしごいたものだ。(笑)


私は、初見&若輩者の私に多くの触発を与えてくださった小平さんのお心遣いに心から感謝すると共に、小平さんのご健勝を祈念している。
そして、小平さんのお心遣いを活かし、サティスファクションプロデューサーとして、小平さんに負けないプロデューサーになる所存だ。


※追伸
2010年7月16日に小平さんは永眠なさいました。
小平さんのご冥福を祈念いたします。(敬礼)

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