2007年05月20日

佐賀行きの通勤電車に乗るの巻

ee77f98d.JPG今日、初めて佐賀を訪れた。

佐賀には、博多からJR九州の電車で行った。
鳥栖まで鹿児島本線で行き、長崎本線に乗り換えて行った。
鳥栖で乗り換えた長崎本線は、車両数が二両しかないものの、予想外に素敵な電車だった。
これまでに乗った電車の中で最も明るく、開放的で、快活だった。

817room01

私にそう強く感じせしめたのは座席だ。
この電車の座席は、高機能かつスタイリッシュで、およそ他の電車ではお目にかかれない。

本体には、目と心に優しい、明るい色調の木材が使われていた。

seat01

座面には、座布団を模したと思われる、キュートなデザインの&座り心地の良い&皮製クッションが敷かれていた。

seat02

背もたれには、「良い姿勢での着座」&「着座による疲労軽減」を促す、座面と同じ色&素材のヘッドレストとランバーサポートが装着されていた。

seat03
seat04

また、それらの間には、背中へフレッシュエアが取り込めるよう、小穴が正方形をかたどって開けられていた。

この電車の名称は、「commuter train 817」。(※追記1)

817

「commuter train」を日本語に訳すと、「通勤(通学)電車」となる。
私が佐賀へ行くのに乗った電車は、通勤電車だった。

私は、鉄道マニアではない。(笑)
だから、電車が通勤電車足り得るには、どのような機能&性能を有していなければいけないのか、はたまた、それらがどのような価値を乗客へ提供しなければいけないのか、全く知らない。

だが、私は、この電車が通勤電車であることを疑わない。
なぜなら、この電車は、上述の座席により、「”通勤”疲労の軽減」という価値を通勤&通学客へ提供していると直感したからだ。

昨今、「名は体を表す」ことを放棄しているとしか思えない、お客さまの期待&信頼を裏切る、不誠実な企業や商品(サービス)をよく見かける。
そんな折も手伝って、私は、この電車の「名が体を表している度」の高さに大きく感心した。
私は、この通勤電車を、企業経営者である自らへの戒めとして、一生忘れない。

話はがらりと変わるが、私は、この電車の企画開発を担当した方(※追記2)に敬意を表したい。
というのも、彼らは、この”かつてない”電車を創るにあたり、少なくとも以下の事項を実行したと推量できるからだ。

★旧来の開発コンセプトを白紙にした。
★大都市でも通勤時間帯に電車を利用してみた。
★↑を通じ、通勤疲労の大きさとそれが公私へもたらす悪影響の大きさを、お客さま目線で肌理解した。
★↑を自らが解決すべき問題として強く認識した。
★「『通勤電車』と銘打たれているとはいえ、電車なんて、こんなもんだ」と決して思わなかった。
★「何とかせねば!何とかなるはずだ!」と価値向上(新価値創出)の可能性を最後まで信じた。
★困難に対峙しても、歯を食いしばり、お客さまの笑顔を思い浮かべながら、やるべきことをやり切った。

この推量が誤りでなければ、彼らは、プロフェッショナルだ。
私は、この電車に加え、彼らのことも、一生忘れない。


[追記]
※1:wikipediaによれば、正式名称は「817系」とのこと。
※2:そのお一人は、工業デザイナーの水戸岡鋭治さんとのこと。


dvroom01
dvroom02
dvroom03



▼その他記事検索
カスタム検索

トップページご挨拶会社概要(筆者と会社)年別投稿記事/2007年

この記事へのトラックバックURL

この記事へのトラックバック
asahi.com:遠賀川のサケ消えた?-マイタウン福岡・北九州 http://mytown.asahi.com/fukuoka/news.php?k_id=41000000801310003 >渇水で遠賀川を上れなかったサケが近くの川に上ったのでは 家無きサケはそうするんだ。知らなかった 河川管理者に取ってはこういうぎりぎ...
ここは酷い遠賀川ですね【障害報告@webry】at 2008年02月01日 23:13
この記事へのコメント


『旅するデザイン
鉄道でめぐる九州−三戸岡鋭治のデザイン画集』


2007年06月 発行 ページ 143P サイズ 27  3,150円(3,000円+税)
ISBN 978-4-09-682012-4 (4-09-682012-1) C-CODE 0071 NDC 726.5

Posted by デザイナー at 2007年09月22日 02:50