2008年05月11日
ザカティーコンサルティングの細谷功さんのセミナー<「地頭力」を鍛える〜問題解決に生かすフェルミ推定>へ参加し、人が目新しい方法論を探索してばかりいる原因を理解するの巻
人には、共通する行動習慣がある。
ビジネスは、人と人との営みだ。
ビジネスマンたるもの、人類共通の行動習慣に通じていなければならない。
不肖私は、今41歳だ。
ビジネスマンになってから、もうすぐ20年だ。
20年という年月は、短くない。
20年間で知り得た人類共通の行動習慣は、少なくない。
だが、原因まで理解できている人類共通の行動習慣は、そう多くない。
人の行動習慣を因果的に解釈するのは、そう簡単ではない。
原因が理解できない人類共通の行動習慣のひとつは、「目新しい方法論(=ソリューション・ノウハウ)を探索してばかりいること」だ。
例えを使って言い換えれば、「『○日でできる』『○○法』『○○術』『○○力』『○○の法則』『○○の方程式』と銘打たれた本を<熟読>&<実践>しないまま次々買い漁ってしまうこと」だ。
この行動習慣の原因が理解できないのは、この行動習慣自体が経済非合理的であるからだ。
人は、意識しているorしていないにかかわらず、経済合理性を追求する生き物だ。
それが、なぜ、このような、時間と金を使う割に得るところが少ない上、次に活きないばかりか高確率で妨げになる行動習慣を選好するのか解せない、という訳だ。
ただ、これは過去のこととなった。
というのは、先月あるセミナーへ参加し、理解できたからだ。
この行動習慣の原因は、結論から言うと、「結論(=ゴール)から考えないから」だ。
ビジネスは、人と人との営みだ。
ビジネスマンたるもの、人類共通の行動習慣に通じていなければならない。
不肖私は、今41歳だ。
ビジネスマンになってから、もうすぐ20年だ。
20年という年月は、短くない。
20年間で知り得た人類共通の行動習慣は、少なくない。
だが、原因まで理解できている人類共通の行動習慣は、そう多くない。
人の行動習慣を因果的に解釈するのは、そう簡単ではない。
原因が理解できない人類共通の行動習慣のひとつは、「目新しい方法論(=ソリューション・ノウハウ)を探索してばかりいること」だ。
例えを使って言い換えれば、「『○日でできる』『○○法』『○○術』『○○力』『○○の法則』『○○の方程式』と銘打たれた本を<熟読>&<実践>しないまま次々買い漁ってしまうこと」だ。
この行動習慣の原因が理解できないのは、この行動習慣自体が経済非合理的であるからだ。
人は、意識しているorしていないにかかわらず、経済合理性を追求する生き物だ。
それが、なぜ、このような、時間と金を使う割に得るところが少ない上、次に活きないばかりか高確率で妨げになる行動習慣を選好するのか解せない、という訳だ。
ただ、これは過去のこととなった。
というのは、先月あるセミナーへ参加し、理解できたからだ。
この行動習慣の原因は、結論から言うと、「結論(=ゴール)から考えないから」だ。
この結論を見出すきっかけとなったのは、セミナーへ参加した殆ど全ての人が講師の著書を読んでいなかったことだ。
講師の細谷功さん(ザカティーコンサルティング・ディレクター)が「私の本を読んでくださった人は手を上げてくれませんか?」と問いかけたところ、挙手した参加者はほんの数名だった。
細谷さんの著書がセミナーのタイトルと同名であるにもかかわらず、だ。
そもそも、セミナーへ参加する目的は何か?
それは、「未習の有用な方法論を会得するため」であり、見方を変えれば、「『未習の有用な方法論が会得できた』という結論を引き出す(=ゴールへ辿り着く)ため」である。
「『未習の有用な方法論が会得できた』という結論を引き出す」には、セミナーへ参加する前に講師の著書を読んでおくことが有効かつ不可欠だ。
しかも、講師の著書がセミナーのタイトルと同名であれば、尚更だ。
となると、講師の著書を予め読まずにセミナーへ参加するのは、「『未習の有用な方法論が会得できた』という結論を引き出す」ことを予め放棄してセミナーへ参加するのと同じだ。
乱暴に言えば、「目新しい方法論を見物しにセミナーへ行く」ようなものだ。
この原因は、「結論(=ゴール)から考えないから」だ。
結論から考えれば、結論を引き出すこと(=ゴールに辿り着くこと)を予め放棄したりしないのはもちろん、貴重な時間と労力を使って物見に出かけたりしない。
不遜だが、私はこう思っている。
「結論から考えない」のは私たち日本人の特徴である、と。
なぜなら、日本人は、目的(目標)と手段(方法)を誤認or混同し易いからだ。
では、私たち日本人は結論から考えられないのか?
私は、否だと思っている。
講師の細谷さんと同様、本人の心構えと訓練で十分できる、と思っている。
細谷さんは持つべき心構えとして「時間に対する感度を上げること(=時間の切迫感を持つこと)」を挙げておられるが、同感だ。
ただ、私は、こうも思っている。
時間の切迫感の前に持つべきものがある、と。
それは、「心底達成を希求する目標」だ。
たしかに、時間の切迫感を持てば、「結論から考える」という目標達成の近道(=方法論)は案出&実行し易い。
が、持っているのが時間の切迫感だけだと、それが最高潮に達した瞬間、目標達成そのものを放棄しかねない。
あくまで想像だが、細谷さんも、「心底達成を希求する目標」をお持ちだ。
さもなければ、ご表情からうかがえた、時間の切迫感に起因すると思しき疲労に押しつぶされているはずだ。
申し遅れたが、私が参加したセミナーのタイトルは<「地頭力」を鍛える〜問題解決に生かすフェルミ推定>だ。
「結論から考える」ことは、本セミナーのキーワードである「地頭力(ジアタマリョク)」の主要思考法であったりする。(笑)
本セミナーの内容については、以下のメモをご覧いただきたい。(礼)
▼その他記事検索
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講師の細谷功さん(ザカティーコンサルティング・ディレクター)が「私の本を読んでくださった人は手を上げてくれませんか?」と問いかけたところ、挙手した参加者はほんの数名だった。
細谷さんの著書がセミナーのタイトルと同名であるにもかかわらず、だ。
そもそも、セミナーへ参加する目的は何か?
それは、「未習の有用な方法論を会得するため」であり、見方を変えれば、「『未習の有用な方法論が会得できた』という結論を引き出す(=ゴールへ辿り着く)ため」である。
「『未習の有用な方法論が会得できた』という結論を引き出す」には、セミナーへ参加する前に講師の著書を読んでおくことが有効かつ不可欠だ。
しかも、講師の著書がセミナーのタイトルと同名であれば、尚更だ。
となると、講師の著書を予め読まずにセミナーへ参加するのは、「『未習の有用な方法論が会得できた』という結論を引き出す」ことを予め放棄してセミナーへ参加するのと同じだ。
乱暴に言えば、「目新しい方法論を見物しにセミナーへ行く」ようなものだ。
この原因は、「結論(=ゴール)から考えないから」だ。
結論から考えれば、結論を引き出すこと(=ゴールに辿り着くこと)を予め放棄したりしないのはもちろん、貴重な時間と労力を使って物見に出かけたりしない。
不遜だが、私はこう思っている。
「結論から考えない」のは私たち日本人の特徴である、と。
なぜなら、日本人は、目的(目標)と手段(方法)を誤認or混同し易いからだ。
では、私たち日本人は結論から考えられないのか?
私は、否だと思っている。
講師の細谷さんと同様、本人の心構えと訓練で十分できる、と思っている。
細谷さんは持つべき心構えとして「時間に対する感度を上げること(=時間の切迫感を持つこと)」を挙げておられるが、同感だ。
ただ、私は、こうも思っている。
時間の切迫感の前に持つべきものがある、と。
それは、「心底達成を希求する目標」だ。
たしかに、時間の切迫感を持てば、「結論から考える」という目標達成の近道(=方法論)は案出&実行し易い。
が、持っているのが時間の切迫感だけだと、それが最高潮に達した瞬間、目標達成そのものを放棄しかねない。
あくまで想像だが、細谷さんも、「心底達成を希求する目標」をお持ちだ。
さもなければ、ご表情からうかがえた、時間の切迫感に起因すると思しき疲労に押しつぶされているはずだ。
申し遅れたが、私が参加したセミナーのタイトルは<「地頭力」を鍛える〜問題解決に生かすフェルミ推定>だ。
「結論から考える」ことは、本セミナーのキーワードである「地頭力(ジアタマリョク)」の主要思考法であったりする。(笑)
本セミナーの内容については、以下のメモをご覧いただきたい。(礼)
インターネットが発展し、誰もが情報を容易に収集できるようになった。
とはいえ、情報収集のツールとしてはもちろん、意思決定のツールとしてインターネットに過度に依存するのは、以下の三つのリスクがある。
1.信憑性の低い情報を収集してしまう←インターネットには「権威づけのない」&「素人が発信している」情報が沢山あるから。
2.古い情報を最新情報として誤認してしまう←インターネットの発展と共に情報の陳腐化が早くなったから。
3.誤った意思決定を下してしまう←情報の収集性(アクセス性)が向上し、思考停止し易くなったから。
ただ、依存を過度にしなければ、これはチャンスだ。
収集した情報に「考える」という付加価値が付けられれば、素人が専門家を凌駕することも不可能ではない。
「デジタルデバイド」と言われるように、今の時代は二極化が顕著になってきている。
私は今の時代を「ジアタマ(=地頭)デバイドの時代」と考えている。
なぜなら、今の時代は「考えること」ができるか否かで立場が真逆になるからだ。
人間の知的能力は、大きく三つある。
一つ目は、知識が豊富で、ものをよく知っていること。クイズ王が好例。
二つ目は、対人感性が敏感で、機転が利くこと。ワイドショーの司会者が好例。
三つ目は、思考力が高く、地頭がいいこと。将棋の棋士が好例。
地頭力は、主に三つの思考力から成り立っている。
一つ目は、抽象化思考力(=単純に考える)。
二つ目は、フレームワーク思考力(全体から考える)。
三つ目は、仮説思考力(結論から考える)。
地頭を鍛えると、二つのメリットが得られる。
一つ目は、生産性を圧倒的に向上できること。
二つ目は、意識&思考回路が変わり、全ての行動を一気に(⇔もぐら叩き的に)変えることができる。
地頭を鍛えることは可能だ。
というのも、地頭の主要思考力である「抽象化思考力」「フレームワーク思考力」「仮説思考力」は、いずれもトレーニングで習得&陶冶できるからだ。
フェルミ推定とは、地頭力を網羅的に測定する手法である。
今回はみなさんにフェルミ推定の演習として「日本全国に電柱は何本あるか?」を解いていただいた訳だが、回答を出す上でとりわけ以下の姿勢は重要だ。
1.演習を解くのを面白がる(積極的に取り組む)
2.時間制限内に回答を出す(時間に応じて回答を出す)
3.前提条件不足でフリーズしない(前提条件を適宜自己決定して先へ進む)
4.基礎データ不足でフリーズしない(既知のデータを使って先へ進む)
5.解法を二つ以上案出する(最適な解法を選択する)
6.全体から考える(「部分→全体」ではなく、「全体→部分」の順序で着手する)
私たちの思考回路は、正解(精度)を追求(優先)するようになっている。
なぜなら、過去そう躾けられてきたからだ
フェルミ推定は、時間という制約条件の中で最高の精度を出すことである。
フェルミ推定は、先述の思考回路を持つ私たちにとって、発想転換事である。
フェルミ推定のポイントは、「いかにして、つかみどころのない膨大な対象物へアプローチするか?」だ。
フェルミ推定を通じて、「全体から考える(フレームワーク型思考)」習慣をつけるといい。
くれぐれも以下の思考方法を習慣づけないようにすること。
1.ズームアウト型:自分中心に考える。「何からやるべきか?」(⇔「何をするべきか?」)
2.虫食い型:思いつきで考える。結果、漏れやダブりが生じるほか、一貫性が担保できない。
話を聞く側の思考回路が「全体から考える」ものでないと、話をする側が真に言わんとしていることは誤解され易い。
だから、「全体から考える」ことができない営業マンは、顧客のニーズや期待に応えられなかったりする。
というのも、顧客から要求事を受ける度に、それを「全体から」ではなく「個別に」とらえてしまうからだ。
ロジカルシンキングは、当たり前のことを当たり前に伝える技術である。
仮説を立て、「結論から」「全体から」「単純に」考え、然るべき情報を収集していく地頭力とは根本的に異なる。
地頭力とは、「離れて」考えること
仮説思考とは、「向こう側に離れる」こと。
最終目的地に居る自分が現在の自分を見ることで、最終目的地へ辿り着くためにやることが見えてくる。
カーナビは、仮説思考力を基盤にした機器だ。
ミーティングは、仮説思考力を使うと一変する。
ミーティングを開始する前に、「一時間後に自分はどんなゴールにたどり着いていたいか?」を先に考える。
該当するゴールを「この件を○○さんに合意していただくこと」と考えたなら、次に「いかにしてそのゴールへたどり着くか」を考える。
フレームワーク思考とは、「上空に離れる」こと。
そして、鳥のなったかのように、全体を鳥瞰する(=俯瞰する)。
抽象化思考とは、「対象物から離れる」こと。
良くも悪くも対象物に思い入れ(こだわり)がある専門家ほどできにくい
地頭力を鍛えるには、以下の三つの心構えが重要だ。
一つ目は、時間に対する感度を上げること。
大半の人は、金銭感覚はあるが、時間感覚はない。
人は、時間が無いと、自ずと仮説思考をするものだ。
時間に対する感度をあげるには、夢を持ったり、心の中で目覚ましをセット&鳴らすことが有効だ。
ただ、時間に対する感度を上がり過ぎ、常に切羽詰った心理状態になっているのが精神衛生上良いか否かは別の話。(笑)
二つ目は、知的依存心をなくすこと。
知識を情報に頼るのはいいが、意思決定を情報に頼ってはいけない。
大事なのは、「正解はどこにも無い」と思うこと。
三つ目は、思い込みを徹底的に認識すること。
思い込みは個性であり、無くす必要はない。
大事なのは、人とコミュニケートする際、自分が思いこみをしていることを認識すること。
地頭力がつく組織は、大企業よりも、中小企業。
地頭力がつく上司は、「何も教えない」「明確な指示を出さない」「ものわかりが悪い」「部下に責任を負わせる」上司。
但し、該当する上司が組織人として良いか否かは別の話だ。(笑)
地頭力が鍛えられていない人と仕事をする際に留意&励行しているのは、地頭力を基盤とする成果物をいち早く作成し、次々プレゼンすることだ。
相手がその内のどれかひとつでも興味を示してくれれば、しめたもの。
速やかに、興味を示してくれた成果物のコンセプト&内容を詳細に説明すると共に、成果物の基盤である地頭力についても詳細に説明する(=理解を得る)。
人は、基本的に他人の話は聞かないが、自分が興味を持ったり、良いと思ったものについては、他人の話であっても聞くものだ。
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この記事へのコメント
こんにちは、初めまして、先日40歳になったばかりの、みなみりゅうじです。
私は、経営コンサルタントではありませんが、堀さんの考えは良く分かります。
「日本人は、目的と手段を区別できていない」ヒトが多いという意味合いのセンテンスは、かなり私にとってタイムリーな発言でした。大変無理な発言ではなく、タイムリーな発言なので良かったですという私の、これは喜びであります。
実は、私、今40歳で、恥ずかしながら、目的と理由の区別がちゃんとできるようになるまでに、生まれてから39年かかりました。去年、やっと出来るようになったわけです。
25歳の頃、自分は、目的と理由の区別が出来ていない事に気づいたのですが、実際にそれがしっかりと出来るようになったのは、大枚を叩いてセミナーに参加したり、膨大な量の本を読んだり、もがきながら仕事をしたりした中で、やっと昨年、自分なりに納得できるレベルに到達したと違和感無く言える様になりました。ですから、堀さんのこちらの記事に共感を覚えたしだいです。
それでは、また、私も何か堀さんのこちらの記事に関連した何かを書き上げたときにはトラックバックをさせていただきます。
Posted by みなみりゅうじ at 2009年03月22日 01:34
みなみさん
はじめまして、堀です。
初めてコメントを投稿いただきありがとうございます。(礼)
本記事の趣旨が、今のみなみさんにとってタイムリーかつお役に立てたとのこと。
ご共感までいただくことができ、光栄かつ嬉しいです!
みなみさんにおかれましては、過日不惑のお年になられ、目的と理由(手段)の区別が明確にできるようになられたとのこと。
後者のキッカケについてはわかりかねますが、とにもかくにもおめでとうございます!
かくいう私は、いまだ不惑の心境に遠いばかりか、自身の客観視がまだまだ甘く、それらを区別し損ねることが少なくありません。(汗)
不肖の私を反面教師にしていただけると幸いです。(笑)
それと、みなみさんは数日前にブログを立ち上げたようですね。
おめでとうございます!
本記事がみなみさんの記事にトラックバックいただけるのを楽しみにしております!
はじめまして、堀です。
初めてコメントを投稿いただきありがとうございます。(礼)
本記事の趣旨が、今のみなみさんにとってタイムリーかつお役に立てたとのこと。
ご共感までいただくことができ、光栄かつ嬉しいです!
みなみさんにおかれましては、過日不惑のお年になられ、目的と理由(手段)の区別が明確にできるようになられたとのこと。
後者のキッカケについてはわかりかねますが、とにもかくにもおめでとうございます!
かくいう私は、いまだ不惑の心境に遠いばかりか、自身の客観視がまだまだ甘く、それらを区別し損ねることが少なくありません。(汗)
不肖の私を反面教師にしていただけると幸いです。(笑)
それと、みなみさんは数日前にブログを立ち上げたようですね。
おめでとうございます!
本記事がみなみさんの記事にトラックバックいただけるのを楽しみにしております!
Posted by 堀 公夫 at 2009年03月22日 08:19