2008年12月05日
昨日ビッグ3のCEOがプライベートジェット機ではなく車で公聴会へ訪れた旨の報道から「信頼されることの意義」を再認識するの巻
昨日と今日の両日、フォード、ゼネラル・モーターズ(GM)、クライスラーのいわゆるビッグ3のCEOが、自社の救済を求めて米議会の公聴会へ出席している。
報道によれば、移動手段は、事前告知通り、プライベートジェット機ではなく、車だった。
「泣く子と世論には勝てない」。(笑)
ビッグ3及び各社のCEOは、議会とマスメディアが協働した「似非庶民視線に基づく(→妬み&怒りを積極醸成する)世論誘導」に屈した。
本件は、気づきや再認識が多い。
ついては、その中のひとつ、「信頼されることの意義」について述べたい。
報道によれば、移動手段は、事前告知通り、プライベートジェット機ではなく、車だった。
「泣く子と世論には勝てない」。(笑)
ビッグ3及び各社のCEOは、議会とマスメディアが協働した「似非庶民視線に基づく(→妬み&怒りを積極醸成する)世論誘導」に屈した。
本件は、気づきや再認識が多い。
ついては、その中のひとつ、「信頼されることの意義」について述べたい。
三社のCEOが議会に求めていること。
それは、つまるところ、金の融通だ。
他者に金の融通を求めること。
それは、「他者に頭を下げ、助けを請う」ということだ。
この意味において、前回彼らが、高コストかつ高権力&高待遇のシンボルと揶揄されるプライベートジェット機で公聴会へ乗り込んだのは、たしかに善手とは言えない。
しかし、そもそも、企業にとってプライベートジェット機は、経営者が経営実務に専心するためのツールだ。
とりわけ支社や工場が本社と非常に離れていたり、社内に加え社外の活動もワールドワイドに求められるビッグ3にとって、相応の必要性はあろう。
だから、今回公聴会を再訪するにあたり、彼らが、プライベートジェット機を利用することで浮いた移動時間と体力を、利用コストをチャラにし得る経営再建実務へ充てるのであれば、彼らが経営する会社の規模を勘案すると、必ずしも悪手とは言えない。
ただ、後者の考えを支持する人は僅少だと思う。
なぜなら、いずれのCEOも、アメリカ国民からあまり信頼されていないように感じるからだ。
「アイツらは、プライベートジェット機の利用をポジション的に当然と思っており、利用することで浮いた移動時間と体力を、利用コストをチャラにし得る経営再建実務ではなく、優雅な余暇時間に充てるのが関の山だ!」。
彼らの助け手となるかもしれないtax payer、即ちアメリカ国民は、こう思っているような気がする。
あり得ない仮定だが、比較例示をしよう。
イチローが自己破産し、手術を要する怪我をしたとする。
彼は、外国で名医の手術を受け、一日も早い現場復帰を企図したとする。
彼は、ある資産家から金を融通してもらい、レンタルプライベートジェット機を利用し、名医が勤務する病院をトンボ帰りし、早々に練習を再開したとする。
「自己破産し他者から支援を受けている身でプライベートジェット機を使うとは何事か!自分の今の立場をわきまえろ!」。
こう思うアメリカ国民は僅少だと思う。
なぜ、大半のアメリカ国民は、イチローのその行動(意思決定)を支持するのか。
それは、「あのイチローのこと、浮いた移動時間と体力を、我々にベストパフォーマンスを見せるべく、必ずや利用コストをチャラにし得る猛練習に充てているに違いない!」、と思うからだ。
そう。
イチローは「信頼されている」のだ。
なぜ、イチローは「信頼されている」のか。
それは、実績に加え、プロセスが非凡だからだ。
彼がよく修行僧に例えられるのは、その証であり誉だ。
本件は、つまるところ、ビッグ3及び各社のCEOが議会とマスメディアのタッグに「信頼負けした」、ということだ。
彼らが本日議会を説き落とせるか否かは「神のみぞ知る」だが、説き落とせた折はイチロー張りの修行僧になり、車で往復約2,000キロ移動したことによりやり損ねた経営再建実務を根性で早々にやり切るよう、僭越ながら一介の経営者として私は期待したい。
かくいう私及び弊社も、現在各所に「信頼負け」しているのは否めない。(汗)
同じく経営者として、私もイチロー張りの修行僧になる所存だ。
<該当報道記事>
▼その他記事検索
トップページ < ご挨拶 < 会社概要(筆者と会社) < 年別投稿記事/2008年
それは、つまるところ、金の融通だ。
他者に金の融通を求めること。
それは、「他者に頭を下げ、助けを請う」ということだ。
この意味において、前回彼らが、高コストかつ高権力&高待遇のシンボルと揶揄されるプライベートジェット機で公聴会へ乗り込んだのは、たしかに善手とは言えない。
しかし、そもそも、企業にとってプライベートジェット機は、経営者が経営実務に専心するためのツールだ。
とりわけ支社や工場が本社と非常に離れていたり、社内に加え社外の活動もワールドワイドに求められるビッグ3にとって、相応の必要性はあろう。
だから、今回公聴会を再訪するにあたり、彼らが、プライベートジェット機を利用することで浮いた移動時間と体力を、利用コストをチャラにし得る経営再建実務へ充てるのであれば、彼らが経営する会社の規模を勘案すると、必ずしも悪手とは言えない。
ただ、後者の考えを支持する人は僅少だと思う。
なぜなら、いずれのCEOも、アメリカ国民からあまり信頼されていないように感じるからだ。
「アイツらは、プライベートジェット機の利用をポジション的に当然と思っており、利用することで浮いた移動時間と体力を、利用コストをチャラにし得る経営再建実務ではなく、優雅な余暇時間に充てるのが関の山だ!」。
彼らの助け手となるかもしれないtax payer、即ちアメリカ国民は、こう思っているような気がする。
あり得ない仮定だが、比較例示をしよう。
イチローが自己破産し、手術を要する怪我をしたとする。
彼は、外国で名医の手術を受け、一日も早い現場復帰を企図したとする。
彼は、ある資産家から金を融通してもらい、レンタルプライベートジェット機を利用し、名医が勤務する病院をトンボ帰りし、早々に練習を再開したとする。
「自己破産し他者から支援を受けている身でプライベートジェット機を使うとは何事か!自分の今の立場をわきまえろ!」。
こう思うアメリカ国民は僅少だと思う。
なぜ、大半のアメリカ国民は、イチローのその行動(意思決定)を支持するのか。
それは、「あのイチローのこと、浮いた移動時間と体力を、我々にベストパフォーマンスを見せるべく、必ずや利用コストをチャラにし得る猛練習に充てているに違いない!」、と思うからだ。
そう。
イチローは「信頼されている」のだ。
なぜ、イチローは「信頼されている」のか。
それは、実績に加え、プロセスが非凡だからだ。
彼がよく修行僧に例えられるのは、その証であり誉だ。
本件は、つまるところ、ビッグ3及び各社のCEOが議会とマスメディアのタッグに「信頼負けした」、ということだ。
彼らが本日議会を説き落とせるか否かは「神のみぞ知る」だが、説き落とせた折はイチロー張りの修行僧になり、車で往復約2,000キロ移動したことによりやり損ねた経営再建実務を根性で早々にやり切るよう、僭越ながら一介の経営者として私は期待したい。
かくいう私及び弊社も、現在各所に「信頼負け」しているのは否めない。(汗)
同じく経営者として、私もイチロー張りの修行僧になる所存だ。
<該当報道記事>
★ビッグ3再建計画、救済法成立は不透明 「いったん破綻」根強く
経営危機に陥っているビッグスリー(米自動車3大メーカー)は2日、フォード・モーターを皮切りに相次いで再建計画を議会に提出、“救済”を求める。だが、250億ドルの緊急融資を実施する法案がすんなりと成立するかは不透明だ。救済には、議会が、この計画で確実に再生が実現し、融資は焦げ付かないと判断する必要があるためで、破綻(はたん)に追い込まれる恐れも依然、残されている。
ビッグスリーの3首脳は11月、議会の説得に失敗した。再建の道筋を明確に示すことができなかったことに加え、自家用ジェット機でワシントンに乗り付け、「良くないメッセージを国民に与えた」(民主党のリード院内総務)ことも原因となった。
議会は判断を保留し採決を先送りして、3社に再建計画の提出を求めた。
米メディアによると、4、5日開かれる公聴会に出席するため、フォードのムラーリー社長兼最高経営責任者(CEO)が本社のあるミシガン州ディアボーンから車で約10時間かけワシントン入りするという。ゼネラル・モーターズ(GM)、クライスラーのトップも自家用機の利用は控え、議会に恭順の意を示し、何とか融資を取り付けようと懸命だ。(※以下省略)
2008年12月3日付「産経ニュース」から引用
http://sankei.jp.msn.com/economy/finance/081203/fnc0812030125000-n1.htm
★ビッグ3首脳、改めて救済を要請
アメリカの自動車大手3社・ビッグ3の首脳が4日、先月に続いて議会で証言し、改めて公的資金による救済を要請しました。
先月の公聴会の際、トップがそろって専用機でワシントン入りしたことが強い批判を浴びたことから、今回は3社の首脳すべてが、デトロイトからの850キロを環境対応車で走って連邦議事堂に到着しました。
4日の公聴会は救済の前提となる経営改善計画をビッグ3がまとめたことを受けて行われたもので、3社の首脳は総額340億ドル、日本円でおよそ3兆2000億円にのぼる公的資金による救済の必要性を改めて訴えました。
「GMは100年にわたり、アメリカ文化の重要な一部でしたし、ほとんどの時期は世界のリーダーでした。しかし過ちも犯しました。だから今、私はここにいます」(GM、ワゴナー会長)
「クライスラーは今後も、提携や統合といった新しいビジネスモデルを追求します」(クライスラー、ナルデリ会長)
証言でビッグ3首脳は、自らの報酬を年1ドルにしたことなどリストラ努力を強調し、公的支援への理解を求めました。
出席した議員からは、ビッグ3の計画に懐疑的な意見も示されましたが、「破綻は現実的な選択肢ではない」との見方が大勢を占めました。(05日04:39)
2008年12月5日付「TBS NEWS i」から引用
http://news.tbs.co.jp/newseye/tbs_newseye4010108.html
▼その他記事検索
カスタム検索
トップページ < ご挨拶 < 会社概要(筆者と会社) < 年別投稿記事/2008年
この記事へのトラックバックURL
この記事へのコメント
信頼を勝ち得るのは、時にものすごく簡単であったりしますが、
たいていの場合、多大な労力を要しますね。
昔々、家電業界へ私が勤める会社が参入した時、
自動車業界では、知らない人の方が少ない会社なのに、
『松下のパチもん』扱いをされたことを思い出しました。
信頼を勝ち得るまで、続けた方が良いと思いましたが、
すぐ止めちゃうんです。うちの会社・・・。
たいていの場合、多大な労力を要しますね。
昔々、家電業界へ私が勤める会社が参入した時、
自動車業界では、知らない人の方が少ない会社なのに、
『松下のパチもん』扱いをされたことを思い出しました。
信頼を勝ち得るまで、続けた方が良いと思いましたが、
すぐ止めちゃうんです。うちの会社・・・。
Posted by 不入斗 at 2008年12月06日 19:47
不入斗さん
こんにちは、堀です。
コメントをありがとうございます。(礼)
> 信頼を勝ち得るのは、時にものすごく簡単であったりしますが、
> たいていの場合、多大な労力を要しますね。
はい、そうですね!
「時にものすごく簡単」に見えるのも、実際は「それまで(他者からは見えない形で)散々歯を食いしばってきた」のがたいていである、と私は経験上思います。
> すぐ止めちゃうんです。うちの会社・・・。
「すぐに止めちゃう」大半は、修行僧になることを自ら積極選択し、かつ、積極選択する意義を社員さんへ「口角泡を飛ばしながら体現表示する」経営者さんが居ないor僅少だから、とこれまた私は経験上思います。
とはいえ、現状、不入斗さんご自身が、修行僧になることを積極選択し、かつ、積極選択する意義を経営者さんへ「口角泡を飛ばしながら体現表示する」最終手段(?・笑)に出るのも、アリかもしれません!
ご検討(?・笑)を!
こんにちは、堀です。
コメントをありがとうございます。(礼)
> 信頼を勝ち得るのは、時にものすごく簡単であったりしますが、
> たいていの場合、多大な労力を要しますね。
はい、そうですね!
「時にものすごく簡単」に見えるのも、実際は「それまで(他者からは見えない形で)散々歯を食いしばってきた」のがたいていである、と私は経験上思います。
> すぐ止めちゃうんです。うちの会社・・・。
「すぐに止めちゃう」大半は、修行僧になることを自ら積極選択し、かつ、積極選択する意義を社員さんへ「口角泡を飛ばしながら体現表示する」経営者さんが居ないor僅少だから、とこれまた私は経験上思います。
とはいえ、現状、不入斗さんご自身が、修行僧になることを積極選択し、かつ、積極選択する意義を経営者さんへ「口角泡を飛ばしながら体現表示する」最終手段(?・笑)に出るのも、アリかもしれません!
ご検討(?・笑)を!
Posted by 堀 at 2008年12月07日 09:00