2009年05月26日

「棋士羽生善治―『人類史上、最も深く考える人』の神髄(写真:弦巻勝)」を読むの巻

昨日、「棋士羽生善治―『人類史上、最も深く考える人』の神髄(写真:弦巻勝)]」を読んだ。
私は、羽生さんに以下の旨教諭いただき、『人類史上、最も深く考える人』という副題に心底合点した。
私たちは、ややもすると、思考が停止し、習慣/経験/他者の考えに盲従してしまう。
それは、「考える葦」である人として生まれて、非常にもったいない。
考えること、それもトコトン深く考えることには、無限の可能性がある。

私たちは、ややもすると、思考の目的を最善手/正解の案出に限ってしまう。
それは、「考える葦」である人として生まれて、非常にもったいない。
考えること、それもトコトン深く考えることには、比類無い充実感がある。

私がこうした心情を抱いたのは、以下の箇所に共感/感心/感動したことが大きい。
あなたさまにも共感/感心/感動いただけると幸いだ。(礼)


生活の中に刺激があるとか、いままでなかったものがあるとか、そういうことがすごく大事な部分としてあるのかもしれませんね。
私もずっと将棋してきて思うことなんですが、“この道はいつか来た道”ではないですが、これは何年前にやったとか、これは誰と誰の実戦であったとか、1000局以上指してくると、どうしても類似したものに当ってしまうんです。
ずっとその中でやっていると、つまらないというか退屈な部分があるので、実験的なものをやっていこうとか、冒険的なものをやってみようってことはすごく思っていますね。
(P17)

将棋の男性と女性の違いということだと、女性に、最初将棋を教えますよね。女の人って、駒を取るの好きなんですよ。
駒取って、使わないんです(笑)。貯蓄するのが好きなんですよね。全体的な傾向なんですよ。
(P20)

ただ、こういうことはありました。
それまでは道場やクラブみたいなところで指していたんですが、そこは趣味の人が来ているんで、和気藹々なんです。
でも、奨励会に入るとですね、本当に勝負の世界なんで、子供心ながらに、真剣にやらなきゃいけないな、と思いましたね。
けっこうその、辞めていく人たちがいるんですよ。年齢制限とかで。
そういう人たちが、挨拶をしていくんですね、最後に。「皆さん、お世話になりました」と。全員ではないんですが、例会のとき、みんな朝集まったときに、「年齢制限で今日を限りに退会になるので、皆さん大変お世話になりました。頑張ってください」ということをいって。
凄くお世話になった先輩や、同期の人がいなくなっていくので、ちょっとこれは真面目にやらなくてはいけない、っていうのは、強烈に思いましたね。
いまにして思えば、リストラ現場を子供に見せているようなものなんです。
そこからいなくなる場面を目の前でやるわけだから、凄いインパクトがあるんですよ。で、よく知っている人じゃないですか。先輩とか同期で入った人たちなわけだから。だから、後々まで印象に残っていますね。
どんなにたくさんのことをいわれるより、そういう場面を見たほうが、一生懸命やらなきゃいけない、っていうのは、凄くわかります。近しい人や親しい人が辞めていくのを見ると・・・特にそうですね。
(P50)

ひとつはメンタルの部分っていうのが、一番伸びるところだとは思っています。メンタルな部分って、個人差関係無く誰でも、年齢と共に上がると思っているんですよ、私。だから、そこを伸ばしていくのが一番いいのかな、と。
ただ、あんまり先を考えると、けっこうイヤになっちゃうんで、とりあえず近いところからやっていこうと。それで、何年か経ったときに進歩しているっていうのが、一番いい形なんじゃないですかね。
なんだかんだって、ゴールまであと100キロだ、っていわれたら、たいていの人、そこでやめますよ、走るの(笑)。
でも、あともうちょっとだよ、もうちょっとだよ、っていわれてたら、100キロ走れちゃうかもしれないじゃないですか。ははは。
だから、あんまり先を考えすぎるのもよくないんじゃないかと思います。
(P52)

(※「勝ち負けがはっきりする世界ですが、ご自分を支えているものはなんでしょう」という問いに対して)
ああー、まあでも、それは日常の部分が大きいとは思いますよ。
つまり、相手の人をどんなに研究しても、100%は見えないじゃないですか。でも、自分のことは100%見えているわけだから、それは勝負どころで、なにか一手選ぶっていうときに、自信を持ってできるかどうか、っていうのは、日常が凄く反映されるような気がします。
自分自身がそこで「やれることはやってきた」とか、「完璧にやってきた」とか、そう思えれば自信を持ってできるだろうし、ちょっとそうじゃない、っていうためらいの部分があれば、やっぱり決断が鈍るっていうことはある。
なんていうんでしょうかね、揺らがないようにする、ってことはありますよね。
(P54)

時間に追われるとか、秒に追われるっていうのは、やっぱり独特なものがありますね。早いですからね。ホントにすごく深く考え出すと、10分、15分ってあっという間になくなっちゃう。早いんです。
でもそれが、棋士のやりがいとか生きがいみたいなところはあるんですよね。
たとえば、加藤先生がずっと毎回毎回秒に追われてるのは、そういうところに道を求めてるって感じがするんですよね。「55秒、6、7」といわれてるところ、そこに何かがあるという感じ。いや、何があるか知らないですけど(笑)。
でも何かそういうものはあると思います。求められているものはあるんです。
また逆にいうと、そういう状況になるとテンションが上がってくる、ということもあるわけです。
つまり追い込まれてるとか、ピンチになるってことで、怠けていた、眠っていたものが出てくるっていうか。
普通に暮らしていたら、別にそんなに一生懸命にやることもないし、平凡につつがなく過ごせばいいと思うけど、秒読まれたらそうはいかないから(笑)。
でも、それは別にプロの人もアマチュアの人も関係ないと思いますよ。アマチュアの人でも、将棋やってて秒読まれてやってるので、けっこうそういう楽しさっていうか、あると思いますよ。
(P55)

(将棋を指してきて)よかったことはやっぱり、ずっと対局してきて、どういえばいいんですかね、物凄く深く考えたとか、物凄く大変だったとか、なんかでも、そこに凄い充実感があったっていうところはあります。
(P58)

棋士 羽生善治
弦巻 勝
双葉社
2009-04-08




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