2009年11月15日

「益川流『のりしろ』思考」(著/益川敏英さん)を読み、人や企業を悪くする真因が傲慢であるのを再認識するの巻

私は、これまで多くの人と企業からご縁を授かりました。
そこで感じるのは、「人や企業を真に良くするor悪くするのは外部要因ではなく内部要因であり、悪くする最大の内部要因は傲慢である」、ということです。

傲慢とは、自分を常に是と考え、自分と異なる人や考えを非合理的に退けたり、自分に都合良く歪曲受容する思考&行動習性です。
傲慢が人や企業を悪くするのは、成功の最大のエンジンである成長を阻害する(=成長機会を逸失する)ばかりか、現状を蝕むからです。

過日、私は、この考えが的外れでなかった(笑)のを知り、安堵と喜びを感じました。
昨年ノーベル物理学賞を受賞なさった益川敏英さんが、著著の中で以下おっしゃっていたからです。
P117
人は、難しい問題にぶつかったとき、自分の努力が足らないとは思わずに、「問題が悪い」とほかのせいにする習性があります。
こんな傲慢な動物は、人間だけです。
実際、わたしたちの世界でも1960年代にそういうことがありました。
ハイゼンベルグパウリという学者が1928年に相対論的な量子力学「場の理論」をつくりました。
この理論はとても計算が難しくて、1960年代になって、「それは使えない」という大合唱が世界的に起こったのです。日本の大御所であった湯川さんもその合唱団の一人でしたし、僕の師である坂田先生も使えないと思い込んでいました。中には場の理論を否定するような説を出す学者まで現れました。ハイゼンベルグも、自分の理論は「宇宙方程式」と言い、ダイポールなどが新法則、新理論を提案しました。
それは、僕に言わせていただくと、人間の傲慢さなのです。
本来だったら、「場の理論」を使って実験をやる、矛盾が出たらその矛盾をなくすという進み方をするべきです。
難しいからもっとやさしい、さっとできるような理論をつくろうというのは、いわば、試験問題が難しくて答えられないから、自分が答えられるような問題に作り変えて答案を書くようなもの。
もちろん、当時の人たちは誰もそんなことは言いはしなかったけれど、今から思うと、傲慢なことをしていたのだと思います。

益川流「のりしろ」思考
益川 敏英
扶桑社
2009-09-29


私は、傲慢の本質は「過剰な自己愛」だと考えています。
つまり、「自分が一番可愛い」あまり、異質な人や考えから自分を反射的に守ってしまうということです。
ただ、過保護に育てられた子供の行く末が明るくないように、過剰な自己愛は、ユニークかつ優れた人や考えとの出会いを奪い、高確率で自分を堕落させます。

「可愛い子には旅をさせよ」という言葉があります。
私たちが持たなければいけないのは、自己愛の誘惑を断ち切る勇気ではないでしょうか。



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この記事へのコメント
ご無沙汰です。
マイミクのマッキーです。

本日、新保豊先生の講義を拝聴しました。
地球温暖化問題の解はロスチャイルド家の新しいビジネスモデルにあるようです。悪意なき欺瞞。マクロ的に見て日本人は知らないうちに真実から隔離されていると定義するならば、人格形成するための社会、つまり外部要因も大いに関係しているのでは?と感じました。
ミクロ的に組織論を見るのであれば内部要因傲慢論はありですね。
Posted by マッキー at 2009年11月15日 20:03
マッキーさん

こんにちは、堀です。
コメントをありがとうございます。(礼)

「外部環境は不断に変化する。
人はこれを制し得えない。
しかし、不断の変化を真摯に認め、でき得る対応をやり切ることは、傲慢でなければ可能。
そして、それが外部環境との調和や特定事項の成功を生み出す可能性がある」。
本文の趣旨を別の言い方で述べると以上になります。

地球温暖化問題に関する情報をありがとうございます。(礼)
不肖私も、地球が温暖化しているのは肌で感じていますので、可能な限り自らの傲慢さを抑制し、でき得る対応をやり切りたいと思います。
Posted by 堀 公夫 at 2009年11月16日 06:57