2010年02月04日

マニーの松谷貫司会長が「カンブリア宮殿」で披露くださった経営内容に深く感心するの巻

お客さまが“その”商品を買うのは、“その”商品を買うといい理由があるからであり、換言すれば、“その”商品に「買い甲斐」があるからです。
社員が“その”職場で働くのは、“その”職場で働くといい理由があるからであり、換言すれば、“その”職場に「働き甲斐」があるからです。
経営とは、結節する(でき得る)「買い甲斐」と「働き甲斐」を創り、お客さまと社員へ持続的に提供することです。

過日(1月25日)、医療機器メーカーのマニーの松谷貫司会長が「カンブリア宮殿」へ出演し、経営内容を披露くださいました
昨日、私はその録画を見、これらを再認識すると共に、松谷さんの経営内容に深く感心しました。
マニーのお客さまである医師や医療機関がマニーの手術針やメスを買うのは、「世界一」正確かつ使い易いからでした。
マニーの社員さんがマニーで働くのは、「世界一」正確かつ使い易い手術針やメスを製販する自分が誇らしいからでした。
松谷さんは、「世界一」の「買い甲斐」と「働き甲斐」を創り、お客さまと社員へ持続的に提供なさっていました。

松谷さんの経営に深く感心したのは、上記に加え、「世界一」を合理的に担保なさっていたからです。
いずれの商品も、優秀医師との信頼関係に基づくツーウェイコミュニケーションと競合商品の徹底比較により企画開発され、商品化の可否は「世界一か否か会議」なる会議で厳密に決定されていました。
いずれの社員さんも、「世界一以外は目指してはならない」と義務づけられていました。
いずれの社員さんも、昇格/昇進の条件に「世界一」をテーマとした論文の記述が課されていました。
いずれの社員さんも、もちろん松谷さんご自身も、「THE BEST QUALITY IN THE WORLD, TO THE WORLD.(世界一の品質を世界の隅々へ)」と背中に書かれた作業上着を着用なさっていました。
松谷さんは、商品開発の基本方針を、現有の流通と技術を活かすことができ、かつ、大企業が手がけにくい世界的ニッチ医療機器市場で販売できること、と定義なさっていました。
松谷さんは、「世界一」でない自社の商品が流通されるより、「世界一」の他社の商品が流通される方が、お客さまのため、世のためになる旨おっしゃっていました。

現在、結節不能な「買い甲斐」と「働き甲斐」を創り、「世界一」を標語に終わらせている似非経営が横行しています。
私は、マニーの14期連続増益を信じて止みません。



★マニーの「高営業利益率体制の仕組み(強み)」(※パワポ資料から転載)

●海外生産で高品質をより安く作る
●長期の改善活動で世界1の品質(長寿命製品+固有技術)
●世界のすみずみへ販売(世界1の品質+英語)
●トレードオフ(何をやらないか)を明確に
(1)医療機器以外はやらない
(2)保有技術の無い製品はやらない
(3)世界一の品質以外は目指さない
(4)ニッチ市場(世界1,000億円以下)以外やらない
(5)世界中に販売できないものはやらない


★「世界一か否か会議」の概要

年二回、商品が世界一であることを商品担当者が発表・証明する。
商品担当者は、たとえばナイフの切れ味、製品の種類の多さ、さらには納期まで、ライバル製品と徹底的にデータで比較し、その品質が世界一であることを証明しなければいけない。
この会議で世界一でないと判断されれば、製品は販売中止となる。


★松谷貫司会長語録

お客さんのために世界一役に立つかどうか。で、そうでないんだったら、当社がやる意味がなくなってきますよね。他の会社のモノを世の中に流通させた方が世の中のためですよね。

販売ツールとしては、「世界一」が一番効く。

(「世界一」を目指すのは、そもそも)「世界一」というのはカッコいいですよね。「世界一」といっても、その商品の要求特性、切れ味だとか、強さだとか色々項目あります。項目に細分化して、当社のものは切れ味は「世界一」とか、そういう細分化された項目で「世界一」というのがまず最初にあって、それでそれをトータルして当社の製品は「世界一」と、そういう言い方でないと意味がないと思います。漠然と「世界一」です、と言っても、それは本当に「世界一」かどうか(わからない)。

我々の商品というのは、お客さんはデータを要求する。さらに、その先へ説得するためにデータを要求する。それによって我々は培われてきたと思いますね。

(営業マンがお客さまに)説明するよりデータが営業してくれるといいますか、一人歩きするんですね。

私は社内でよく言うんですが、「医療針の先端だけを研究しているヤツは世界で何人居るかというと、せいぜい五人くらいきり居ないだろうと。五人の内一番になれば世界一なる。その方が社員のモチベーションがあがる。やっぱり世界を相手にすると、企業というものは強くなりますよね。世界を相手にしない企業は、どこかで世界と対峙しなくてはいけなくなった時に弱さが出てくる。

我々は技術で社会に貢献しているつもりですから、当社の技術が及ばないようなものを一所懸命やるというのは、結局は社会のためにならない。得意なところで勝負するということですね。それが一番社会に貢献できる。

かっこよくいえば、我々の企業理念にあるように、「世界の人々の幸福のために」とかね、そうなっているのですが、しかし、そこと実際の毎日毎日のモチベーションとはちょっと違っていると思うんですよね。実際は、「世界の人々のために・・・」と常に思っているという人ははなかなか少なくて、そうじゃなくて、自分が目的を達したいという、そのためには「世界一」が一番いいんですね。「世界一」というのをいっぱい散りばめてあるわけですね。そこに達するという、そのために仕事をしていると。そういうのが実際ですね。

モノを作る以上、お客さんのために一番にならなければいけないわけですから。他の会社が一番で当社が下ならば、他の会社のモノを世の中に流通させた方が世の中のためですよね。



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