2010年06月17日
「後悔を最小化する生き方」を貫徹なさっている三浦弘行八段に「来るべき時」が来るのを確信するの巻
先月の18日、将棋界の最高棋戦である第68期名人戦が終了しました。
羽生善治名人が挑戦者の三浦弘行八段を降し、見事名人位を防衛なさいました。
私は、羽生さんを敬愛しています。
だから、七番勝負を土付かずの四連勝で制した羽生さんに、心から拍手喝さいを送りました。
しかし、私は、惜敗なさった三浦さんにも、心から拍手喝さいを送りました。
しかも、三浦さんの捲土重来を祈念しました。
なぜでしょう。
理由の一つは、「現在の実力、成果、生活に満足しないよう絶えず意識的に努めている」三浦さんを応援していたからです。
本名人戦以来、私は、三浦さんを、羽生さんと同様、棋士としてだけでなく、ビジネスマンとして、人として敬愛するようになっていました。
理由のもう一つは、棋譜や報道からうかがえた三浦さんの徹底した「後悔を最小化する生き方」に共感と感動を覚えていたからです。
私は、昨日の朝刊で終了した名人戦第4局観戦記(掲載新聞:毎日新聞/記者:椎名龍一さん)を読み終え、そのことをはっきり自覚しました。
羽生善治名人が挑戦者の三浦弘行八段を降し、見事名人位を防衛なさいました。
私は、羽生さんを敬愛しています。
だから、七番勝負を土付かずの四連勝で制した羽生さんに、心から拍手喝さいを送りました。
しかし、私は、惜敗なさった三浦さんにも、心から拍手喝さいを送りました。
しかも、三浦さんの捲土重来を祈念しました。
なぜでしょう。
理由の一つは、「現在の実力、成果、生活に満足しないよう絶えず意識的に努めている」三浦さんを応援していたからです。
本名人戦以来、私は、三浦さんを、羽生さんと同様、棋士としてだけでなく、ビジネスマンとして、人として敬愛するようになっていました。
理由のもう一つは、棋譜や報道からうかがえた三浦さんの徹底した「後悔を最小化する生き方」に共感と感動を覚えていたからです。
私は、昨日の朝刊で終了した名人戦第4局観戦記(掲載新聞:毎日新聞/記者:椎名龍一さん)を読み終え、そのことをはっきり自覚しました。
【第4局の1】
眠れない夜
「ほうじ茶をください」と注文した三浦は、その数秒後に「ほうじ茶って眠れなくなることないですよね」と係の女性に確認した。対局前夜、夕食時の話である。翌日からの対局に備え、三浦が眠れなくなることを警戒していることがわかった。ほうじ茶で眠れなくなるかどうかなんて、普通の人は通常、意識もしていないことだろう。質問された係の女性もちょっぴり困った表情だ。そのときにとっさに“ジャスミンティーは眠り誘う薬”という歌詞を思い出して「眠りたいならジャスミンティーですよ」と僕は横から口をはさんでしまった。三浦はちょっぴりほほ笑んで「じゃあジャスミンティーにします」。その後「眠りにつきたいならホットミルクもいいんじゃないでしょうか」という話題も出て、三浦は素直にホットミルクも追加注文した。
傍から見れば笑い話に思えるかもしれないが、その時の三浦にとってはしっかり睡眠を取って体を休め、翌日からの対局に全力でぶつかっていける準備をすることこそが最重要課題だったのだ。
それでも翌日の控室は「三浦八段はあまり眠れなかったらしい」ということが話題になっていた。名人位というものが挑戦者にとてつもなく大きな圧力を加えていたのだろう。
(※5月31日掲載分から転載)
【第4局2】
想像を絶する疲労度
シリーズが始まる前、挑戦権を獲得した三浦にインタビューする機会に恵まれた。その時に2日制の将棋に対する不安があるかどうかをたずねたところ「2日制の将棋の疲労度がどのくらいのものなのか、ちょっと分からないんですよね」と答えた。インタビュー記事には書かなかったが「1日6時間の順位戦よりも疲労度が少ない気がしているので、あまり気にしていません」という感じのことも言っていた。
ところが今回、福岡空港から宿泊先のホテルにタクシーで向かっている最中に、三浦は自らインタビューで話したことに触れて「2日制の将棋がこれほど疲れるものだとは思っていませんでした」と心境を語ってくれた。その疲労感は三浦の想像を絶するものだったようで、「将棋が終わった後に立てなくなるくらいのすさまじい疲れでした」という。対局前日に三浦が睡眠に対して異様なまでにこだわったのは、体力温存の大切さを学習してきたからこそであろう。
(後略)
(※6月1日掲載分から転載)
【第4局の16】
悔いはありません
(前略)
投了から2分後、三浦の顔に苦笑いが浮かんだ。対局中に見られた全身の筋肉の硬直が次第に解けてきたのだろう。終局直後のインタビューで羽生は「本局は序盤から苦しくしてしまいました。4連勝と幸いしましたが、今シリーズは苦しい将棋が多かった」と振り返った。三浦は「後手番ならまあまあの分かれになったと思いました。途中はハッキリ良くなる順が発見できませんでした。4局戦って全体的に力不足だと感じましたが、自分の力は出し尽くしたので悔いはありません」ときっぱりと言った。
結果だけ見れば、4連敗のストレート負けであったが、プロが絶賛するほどに内容の濃いシリーズだった。三浦の捲土重来を楽しみに待ちたいと思う。
(※6月16日掲載分から転載)
不肖私も、24才の時突然死にかけて以来、「後悔を最小化する生き方」を志向しています。
「不確実性の塊とも言うべき人生を最小の後悔で全うするには、【今できること】と【今やるべきこと】をやり切ることが欠かせない」。
私はこう考え、三浦さんよりも度合いは劣るでしょうが(笑)、この生き方を志向しています。
もし明日交通事故に遭っても、後悔と呼ぶべき後悔はありません。
だから、私は、甚だ不遜ですが、三浦さんが、ほうじ茶を注文した後、ジャスミンティーとホットミルクも追加注文なさった心情がよくわかりますし、感動しました。
また、勝てていた対局を落とした(※第3局と第4局)ことを受けてのことでしょう、三浦さんが、「全体的に力不足だと感じた」と現時点における実力の客観評価に努めるも、「自分の力は出し尽くしたので悔いは無い」と総括なさった心情もよくわかりますし、感動しました。
「後悔を最小化する生き方」は確率論です。
つまるところ「勝負は時の運」であり、確率論が必ずしも勝をもたらすとは限りません。
しかし、「勝負は時の運」を完全肯定してしまうと、私たち人間はあまりにも無力で、惨めです。
あくまで推量ですが、三浦さんも、意識的か無意識的かは別として、このように考え、「勝負は時の運」に抗する唯一策の「後悔を最小化する生き方」を貫徹なさっているのではないでしょうか。
漫画「ゲゲゲの鬼太郎」で有名な水木しげるさんは、戦争で命拾いし、後年ブレークなさいました。
想定外の不幸が不断に降りかかる人生で「後悔を最小化する生き方」を貫徹している水木さんをずっと傍で見てこられた奥さまの武良布枝さんは、水木さんがブレークした時、「来るべき時が来たと思った」といいます。
私は、「後悔を最小化する生き方」を貫徹なさっている三浦さんに「来るべき時」が来るのを確信しています。
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