2010年09月03日
公式戦に復帰なさった林葉直子さんのご決断に感心、感動するの巻
少し時間が経ってしまいましたが、ブログに書いておきたいことがあります。
それは、アマチュアとしてではありますが、7月末に、林葉直子さんが公式戦に復帰なさった件です。
林葉さんは、一般的には失踪等のスキャンダルの方がよく知られているかもしれませんが、上記の報道にもあるように、11才でアマ女流名人になり、プロ入り後は女流名人や女流王将といったタイトルを長らく保持しておられた、屈指の強豪女流棋士です。
一連のスキャンダルが無ければ、今も女流棋士のトップクラスに君臨なさっているはずです。
私が本件をブログに書いておきたいと思ったのは、過去の栄光と必至の屈辱を振り払って、自分のオリジンであり、また、レゾンデートル(存在理由)とも言うべき将棋をまた公の場で指された林葉さんのご決断に感心、感動したからです。
もし私が林葉さんだったら、かくなる決断はできなかったに違いありません。
それは、アマチュアとしてではありますが、7月末に、林葉直子さんが公式戦に復帰なさった件です。
将棋の林葉さん復帰戦敗れる 15年ぶりにプロ棋戦出場
将棋の人気女流棋士として活躍した林葉直子さん(42)が28日、東京都内で行われた日本女子プロ将棋協会(LPSA)の公認棋戦「日レスインビテーションカップ」で15年ぶりにプロ棋戦に出場したが、中倉彰子女流初段(33)に敗れ、復帰戦を飾れなかった。
先手番となった林葉さんは最新形の石田流三間飛車戦法を選択。序盤はペースを握っていたが、中盤に簡単な受けの手を逃し、白星が遠のいた。久しぶりの対局を終えた林葉さんは「王手もできず、ミスも多く残念。しかし、楽しかった」とほっとした様子も。本格的に復帰するのかを聞かれると「しばらく考えたい」と明言を避けた。
林葉さんはアマチュアで活躍した後、1980年に女流プロに。女流名人位、女流王将などタイトル通算15期の実績を誇っていたが、失踪騒ぎを起こすなど将棋への情熱を失い、95年に日本将棋連盟を退会。今回は主催者特別推薦で参加した。
2010/07/28 17:50 【共同通信】
★↓から転載
http://www.47news.jp/CN/201007/CN2010072801000556.html
林葉さんは、一般的には失踪等のスキャンダルの方がよく知られているかもしれませんが、上記の報道にもあるように、11才でアマ女流名人になり、プロ入り後は女流名人や女流王将といったタイトルを長らく保持しておられた、屈指の強豪女流棋士です。
一連のスキャンダルが無ければ、今も女流棋士のトップクラスに君臨なさっているはずです。
私が本件をブログに書いておきたいと思ったのは、過去の栄光と必至の屈辱を振り払って、自分のオリジンであり、また、レゾンデートル(存在理由)とも言うべき将棋をまた公の場で指された林葉さんのご決断に感心、感動したからです。
もし私が林葉さんだったら、かくなる決断はできなかったに違いありません。
なぜでしょう。
それは、「負けるのがわかっているから」です。
かつてのタイトルホルダーとはいえ、10年以上公式戦から離れていて勝てるほど、プロの世界は甘くありません。
自分のオリジンであり、また、レゾンデートルとも言うべき将棋をまた公の場で指せる喜びが眼前に見え隠れしても、衆人の前で「負けました」と言って一礼するのが必至なら、不肖の私だと、その喜びをスルーしてしまうに違いありません。
話は少し脱線しますが、将棋では負けた時、「負けました」と言って相手に一礼しなければいけないのですが、この所作は、本人からすると、傍が思う以上に辛いものがあります。
その理由をひと言で言えば、「自己否定を免れないから」です。
将棋は個人のゲームなので、「負けた」という結果と責任の引き受け手は自分以外ありません。
「なんで、あんな手を指したのだろう」。
「なんで、形勢判断を誤ったのだろう」。
「なんで、負けてしまったのだろう」。
「なんで、もっと事前に研究(勉強)しておかなかったのだろう」
「なんで、『そう捨てたものでは無い』と自分(の力量)を過大評価していたのだろう」。
「負けました」と言って相手に一礼する所作は、こうし地獄の責め苦を容認した表れなのです。
林葉さんのように豊かな才能と輝かしい栄光をお持ちの方にとって、「負けました」と言って相手に一礼することは、ある意味死ぬより辛いことなのではないか、と推量します。
なぜ、林葉さんは、自分のオリジンであり、また、レゾンデートルとはいえ、負けるとわかっていても、死ぬより辛い思いをするとわかっていても、公の場でまた将棋を指そうと決断なさったのでしょうか。
理由の一つとして、本格復帰へ向けてのテストマーケティングの意味合いはあったと思いますが、最たるは、「自分は捨てたものである(⇔そう捨てたものではない)」と心底自認なさりたかったからだと思います。
公の場で、自分のオリジンであり、また、レゾンデートルである将棋に敗れることで、不要なプライドを捨て去り、復帰の真の覚悟をお決めになりたかったのだと思います。
もちろん、これは私の推量であり、確たる根拠はありません。
ただ、この推量がビンゴなら、林葉さんの決断はとても賢明です。
問題の根本原因は必ず自分にあり、問題を根源的に解決するにはまず「自分は捨てたものである」と問題の根本原因が自分にあるのを心底自認することが欠かせないからです。
「自分はそう捨てたものではない」と依然考え、問題の根本原因を自分以外の他に求めてしまうと、問題が根源的に解決されないのはもちろん、成功の最大のエンジンである自分の成長もあり得ません。
かつて小泉純一郎元首相は「改革なくして成長なし」とおっしゃいましたが、「自己否定なくして成長なし」なのです。
林葉さんは、復帰戦では本格復帰の意向を留保なさいましたが、先月の8日に行われた日レスインビテーションカップの準決勝の場では留保を解かれました。
林葉さんのご決断は、見事吉と出ました。
私は、林葉さんのご健勝はもとより、さらなるご成長とご成功を心から祈念したいと思います。
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それは、「負けるのがわかっているから」です。
かつてのタイトルホルダーとはいえ、10年以上公式戦から離れていて勝てるほど、プロの世界は甘くありません。
自分のオリジンであり、また、レゾンデートルとも言うべき将棋をまた公の場で指せる喜びが眼前に見え隠れしても、衆人の前で「負けました」と言って一礼するのが必至なら、不肖の私だと、その喜びをスルーしてしまうに違いありません。
話は少し脱線しますが、将棋では負けた時、「負けました」と言って相手に一礼しなければいけないのですが、この所作は、本人からすると、傍が思う以上に辛いものがあります。
その理由をひと言で言えば、「自己否定を免れないから」です。
将棋は個人のゲームなので、「負けた」という結果と責任の引き受け手は自分以外ありません。
「なんで、あんな手を指したのだろう」。
「なんで、形勢判断を誤ったのだろう」。
「なんで、負けてしまったのだろう」。
「なんで、もっと事前に研究(勉強)しておかなかったのだろう」
「なんで、『そう捨てたものでは無い』と自分(の力量)を過大評価していたのだろう」。
「負けました」と言って相手に一礼する所作は、こうし地獄の責め苦を容認した表れなのです。
林葉さんのように豊かな才能と輝かしい栄光をお持ちの方にとって、「負けました」と言って相手に一礼することは、ある意味死ぬより辛いことなのではないか、と推量します。
なぜ、林葉さんは、自分のオリジンであり、また、レゾンデートルとはいえ、負けるとわかっていても、死ぬより辛い思いをするとわかっていても、公の場でまた将棋を指そうと決断なさったのでしょうか。
理由の一つとして、本格復帰へ向けてのテストマーケティングの意味合いはあったと思いますが、最たるは、「自分は捨てたものである(⇔そう捨てたものではない)」と心底自認なさりたかったからだと思います。
公の場で、自分のオリジンであり、また、レゾンデートルである将棋に敗れることで、不要なプライドを捨て去り、復帰の真の覚悟をお決めになりたかったのだと思います。
もちろん、これは私の推量であり、確たる根拠はありません。
ただ、この推量がビンゴなら、林葉さんの決断はとても賢明です。
問題の根本原因は必ず自分にあり、問題を根源的に解決するにはまず「自分は捨てたものである」と問題の根本原因が自分にあるのを心底自認することが欠かせないからです。
「自分はそう捨てたものではない」と依然考え、問題の根本原因を自分以外の他に求めてしまうと、問題が根源的に解決されないのはもちろん、成功の最大のエンジンである自分の成長もあり得ません。
かつて小泉純一郎元首相は「改革なくして成長なし」とおっしゃいましたが、「自己否定なくして成長なし」なのです。
林葉さんは、復帰戦では本格復帰の意向を留保なさいましたが、先月の8日に行われた日レスインビテーションカップの準決勝の場では留保を解かれました。
林葉直子さん、棋界本格復帰へ まずは体調回復から
先月、15年ぶりのプロ棋戦に出場した元女流棋士・林葉直子さん(42)が8日、現役に本格復帰する意向を表明した。都内のホテルで行われた日本女子プロ将棋協会(LPSA)公認棋戦「日レスインビテーションカップ」の大盤解説会にゲスト参加した後に「体調を整えながら、今度は本格的に」と明言した。
元天才女流棋士に、駒音への情熱が戻ってきている。「やっぱり楽しいです。現場に来ると(現役当時を)思い出します。毎日こんな場があるといいと思います」。先月28日にアマチュアとして出場した同大会では中倉彰子初段(33)に敗れたものの、久しぶりの真剣勝負がハートに火を付けたようだ。
解説会では約50人のファンの前でトークを展開。「こんなトシ取りすぎた人が解説してもしょうがないよ」「序盤はどうでもいいの」などと語り、客席から笑いを誘った。先日の対局後の会見で「(本格復帰は)ファンの皆さんの声を生で聞いてみて」と話していただけに、予想以上の歓迎ムードに笑みがこぼれた。
今後の最大の課題は、体調面だ。現在、逆流性食道炎、胃炎、痔(じ)などの症状で激ヤセしている林葉さんは「早く治さないといけないな。1分将棋になってからトイレには行けないでしょ」と語る。LPSAのツアー女子プロを目指すか、昨年内々に復帰要請を受けた日本将棋連盟(95年退会)との関係修復を図るか、などの問題も抱えるが、まずは戦える体に戻すことが先決となりそうだ。
(2010年8月9日06時01分 スポーツ報知)
※↓から転載
http://hochi.yomiuri.co.jp/leisure/shogi/news/20100809-OHT1T00034.htm
林葉さんのご決断は、見事吉と出ました。
私は、林葉さんのご健勝はもとより、さらなるご成長とご成功を心から祈念したいと思います。
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