2010年12月11日
オリンピック日本競泳代表チームヘッドコーチの鈴木陽二さんの勝負哲学に共感と感銘を覚えるの巻
一昨日、私は、明治大学の「勝負学」という公開講座に参加し、オリンピック日本競泳代表チームヘッドコーチの鈴木陽二さん(セントラルスポーツ常務取締役)の講話を拝聴しました。
私は、鈴木大地選手、岩崎恭子選手、北島康介選手などを金メダルに結びつけてこられた鈴木さんの勝負哲学に、共感と感銘を多々覚えました。
一番共感と感銘を覚えたのは、以下「勝負に勝つ肝は、二位と紙一重でトップになることだ」ということです。
私は、鈴木大地選手、岩崎恭子選手、北島康介選手などを金メダルに結びつけてこられた鈴木さんの勝負哲学に、共感と感銘を多々覚えました。
一番共感と感銘を覚えたのは、以下「勝負に勝つ肝は、二位と紙一重でトップになることだ」ということです。
勝負には流れがある。
良い時もあれば、悪い時もある。
厄介なのは、流れの良い時に、つい調子にのって、「大勝ち(おおがち)」をしようとしてしまうことだ。
勝負に勝つには、微差でいいので二位をおさえ、トップになればいい。
「大勝ち」、つまり、二位と大差をつけて勝つ必要は全く無い。
しかし、人は、流れの良い時、つい「大勝ち」をしようとしてしまう。
その結果、無理なパフォーマンスをしてしまい、勝利を逃してしまう。
勝負に勝つ肝は、いかなる流れであれ、実力を出し切り、二位と紙一重でトップになること、そして、それを想定したレース運びや事前準備を細部まで予め案出し、実際に完遂すること、だ。
鈴木さん曰く、先述の金メダリストは、いずれも逆転勝ちです。
下馬評トップの選手が、前半飛ばし過ぎ、後半バテてしまった。
そこで、予め紙一重で勝つことを想定し、然るべきピッチで泳ぎ続けてきた彼らが、最後の最後で下馬評トップの選手を一気に抜き去り、そのままゴールしたのです。
彼らは、下馬評トップの選手に対し、区間タイムでは殆ど負けましたが、レース(=勝負)では勝ったのです。
先述の金メダリストと下馬評トップの選手の明暗を分けたのは、一体何だったのでしょう。
私は、以下四つ考えます。
【1】区間タイムではなく、レース(=勝負)での勝利を志向したこと。
【2】鈴木さんの勝負哲学を心得ていたこと。
【3】「大勝ち」の誘惑を断ち切る勇気を持っていたこと。
【4】これら三つを不断に後押ししてもらえるコーチに恵まれたこと。
鈴木さん曰く、平井伯昌コーチは、北島康介選手に試合前、「勇気を持って、ゆっくり行け」とおっしゃるそうです。
オリンピック日本競泳代表チームがこれまで金メダルに恵まれてきたのは、このような言を不断に言い切れるコーチとこのような言を不断に聞き入れられる選手の双方を擁していたことが大きい気がします。
ちなみに、鈴木さん曰く、先述の勝負哲学は、中学で始めた(※現在は休止中)麻雀から編み出されたようです。(笑)
たしかに、麻雀で勝つ肝は、不断に高い手を狙い、二位と大差をつけてトップになることではなく、二位と紙一重でいいのでトップになり、そのまま終局まで連荘することです。
私は、鈴木さんにならい、もっともっと、日常の些事から物事の本質を洞察し、不断に活用したいと思います。
末筆ですが、私は、共感と感銘を多々授けて下さった鈴木さんに、この場を借りて改めてお礼を申し上げたいと思います。(敬礼)
★共感と感銘を覚えたその他の鈴木さんのお話
ツキを「運」と思わない。
ツキは「自分次第でよびこめるものだ」と思う。
(鈴木)大地(選手)は、最初の内、よく練習をサボった。
けれど、ある時「お前はオリンピックに行けるよ!」と言うと、以後全くサボらなくなった。
(本人の気持ちや意向を把握し)本人にとって適切な目標を与えることは、とても大事だ。
当時、「バサロを長くやると、後半(体力が)続かない」というのが定説だった。
しかし、大地はバサロを長くやった方がタイムが確実に早く、また、疲れ知らずだったので、私は大地にバサロを長くやるよう指示した。
この判断と意思決定は、自分がプレイヤーとしての経験が豊富でないことが幸いした、と思っている。
人はプレッシャーで伸びる。
(岩崎)恭子(選手)はプレッシャーに滅法強かった。
コーチは映画監督と同じ。
選手の持っている実力を最高に引き出し、レースに勝利する展開、プロセスを想定しなければいけない。
人(他者)と競争する前に、まず自分自身と競争する。
(北島)康介(選手)は平泳ぎだから勝てた。
自由形なら勝てない。
なぜなら、平泳ぎが康介のS1(=スタイルワン:「一番得意なスタイル」の意)だからだ。
人は、みな自分のS1を持ち、それをやり抜くといい。
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